千と千尋の神隠しは独特の世界観を持つジブリアニメです。モデルになっているのではないかと言われているスポットが日本国内だけではなく、台湾にも存在し、観光客が多く訪れています。そこには本当に映画そっくり!そんな画面から抜け出てきたかのような場所をまとめてみました。
1.モデルとなったと有名な台湾の九份!
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神の世界に入り込み、両親がブタになってしまった場所は、台湾の九份がモデルになっているのではないかと、多くのファンから言われています。味のある古きよき建物と、ひしめき合う赤い提灯のあるこの街は、まるで「千と千尋の神隠し」の世界そのもの!昔の日本の盛り場、昭和戦後の飲み屋街だったら何処にでもあったような光景でしたが、今ではあまり見かけません。そんな懐かしい日本の飲み屋街のような雰囲気は、台湾にはまだまだ残っているんですね。九份を歩いていると、お店のカウンターにある中華料理などもいい味を出しているなと感じられます。
九份の階段の町並み
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九份の階段の町並みには、狭い街路にお店がひしめき提灯が沢山ぶら下がっている、映画そのままの光景があります。映画のシーンは、まるで九份の街路へ行ってスケッチしたのかと思うほどです。今にも千尋が走って出て来そうな雰囲気を感じられますよね。 ■ 基本情報
- ・名称: 九份
- ・住所: 新北市瑞芳区九份
- ・アクセス: MRT 忠孝復興駅から直通バスで一時間半
阿妹茶酒館
阿妹茶酒館は九份にある有名な中国茶専門店です。ネット上には「監督が取材にやって来た」とお店の方がインタビューに答えており、座ったとされる席まで紹介されています。確かにお店の前の街路の雰囲気は映画のシーンそのままで、夜になって提灯が赤く灯される頃になると、映画の世界に入り込んだのではないかと、誰もが思ってしまうことでしょう。また、お店の中には階段が多く、こちらも映画に出てくる「油屋」の中に似ていると言われています。
■ 基本情報
- ・名称: 阿妹茶酒館
- ・住所: 台湾新北市瑞芳区崇文里市下巷20号
- ・営業時間: 8:30~翌2:30(休日は翌5:30まで)
- ・定休日: 年中無休
- ・電話番号: +886-2-2496-0833
- ・参考サイト:http://www.taipeinavi.com/food/276/
実は映画のモデルにはなっていなかった!
Photos By 夏天
台湾の九份。この場所は、誰もが映画のモデルになったと思ってしまうことでしょう。しかし実際には、監督がインタビューで「違う」と否定しています。アニメの場合は必ずしも実在のモデルが必要ではなく、制作者の頭の中にある世界が映像に統合されて創り出されたものだと考えられます。監督は映画のシーンについて 「どこにでもある光景だ」とも言っていました。監督をはじめとした、制作者のイマジネーションが統合された結果で生まれたものでしょう。
しかし見た人が九份の街路がそっくりだと思えるのなら、それはデマやウソではなくて、感じたままの事実と言うことになります。私も映画を見て、九份がモデルのように見えて仕方がありませんでした。モデルになったことが事実がどうかではなく、自分の頭の中で想像しながら楽しめばいいのではないでしょうか。
2.「油屋」の外観は日本の温泉旅館がモデル!
映画のメイン舞台となるのが「油屋」。赤い橋とそのうしろに建つ木造の建物が出てくる場面は、とても印象的です。そんな「油屋」モデルはどこの温泉旅館なのだろうかということは、誰もが興味を持つのではないでしょうか。日本の温泉地には、3階建以上の風格がある木造建築の温泉旅館が、まだまだ数多くあります。監督が言われているように、映画の油屋は、まだどこにでもある風景なのかも知れません。いくつかの旅館を合体させると、そこに現れるのは、確かに映画に出てくるあのシーンです。
道後温泉本館【 道後温泉 】
http://item.rakuten.co.jp/tekuteku-ohenrosan/10000815/
日本最古の道後温泉にあるのが、道後温泉本館。夏目漱石の「坊ちゃん」にも登場する、国内外にも知られた日帰りの温泉施設です。この場所は油屋の参考になったと公式に明言されており、風格のある外観や内部の部屋の構成などから、油屋は旅館と言うよりも道後温泉本館のような施設のイメージになったのでしょうか。 道後温泉本館には「神の湯」と「霊の湯」の2つの湯があり、神の湯には広間の休憩所、霊の湯には個室と広間の休憩所があります。休憩所、個室を利用すると、それぞれのグレードに応じた接待を受けることが出来ます。道後温泉本館の利用の仕方も、油屋の雰囲気そのままのような感じがしますね。
■ 基本情報
- ・名称: 道後温泉本館
- ・住所: 愛媛県松山市道後湯之町5-6
- ・アクセス: 松山駅から市内電車で「道後温泉」下車 徒歩3分
- ・料金・営業時間:入浴料金・営業時間を確認してください
- ・電話番号: 089-921-5141
- ・公式サイトURL: http://www.dogo.or.jp/
金具屋【 渋温泉 】
http://search.shibuonsen.net/facilities/detail/kanaguya/
渋温泉にある金具屋。こちらは映画のモデルとはなっていない事を、関係先に連絡して確かめられております。それでも建物の外観、室内の様子がとても似ている事は、訪れた人なら感じることでしょう。 昭和11年に建てた木造4階建の「斉月楼」と、167畳の大広間がある「温泉会館」は、油屋の中にいるような、イマジネーションを感じさせる建物となっています。3年の年月をかけて、宮大工が技巧の粋を尽くした芸術的な建築は、映画のモデルではないとわかっていても出かけてみたくなります。
■ 基本情報
- ・名称: 金具屋
- ・住所: 長野県下高井郡山ノ内町平穏2202
- ・アクセス:湯田中駅からバスで「渋和合橋」下車
- ・入退:【チェックイン】15:00~ 【チェックアウト】10:00~
- ・電話番号: 0269-33-3131
- ・公式サイトURL: http://www.kanaguya.com
元禄旅籠 油屋【 湯原温泉 】
http://onsen.jal.co.jp/okayama/sp330/
元禄時代から続く老舗旅館の油屋は、元禄時代に旅人へ油を提供していたことから、油屋の屋号が付いたものだと伝えられています。この木造3階建の建物は明治時代に建てられたもので、その雰囲気は夜になれば映画のシーンそのままとなります。 映画の湯屋「油屋」と同じ名前を持つ旅館で、モデルになったイメージが大きいのですが、「油屋」の屋号の旅館は全国各地にあります。ちなみに、監督の別荘がある長野県富士見町の近くの上諏訪にも、「油屋」という屋号の旅館があるんですよ。
■ 基本情報
- ・名称: 元禄旅籠 油屋
- ・住所: 岡山県真庭市湯原温泉29
- ・アクセス: 湯原I.C.より7分
- ・電話番号: 0867-62-2006
- ・料金プランによって異なります。プラン一覧から確認してください
- ・公式サイトURL: http://i48167.wix.com/aburayaorg
積善館本館【 四万温泉 】
川に架かる朱い橋の向こうにある温泉旅館。ここはまさに映画内の「油屋」モデルとなった場所ではないかと思うほど、雰囲気があります。日テレの特番で「油屋」のイメージモデルの一つとして、番組の中で紹介されたお宿なんですよ。
映画のモデルとされる積善館の本館は元禄4年に建てられ、日本最古の木造湯宿建築と言われています。重要文化財にも指定されている建物です。
■ 基本情報
- ・名称: 積善館本館
- ・住所: 群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
- ・アクセス: 中之条駅よりバスで約40分
- ・電話番号: 0279-64-2101
- ・料金:プランによって異なります。プラン一覧から確認してください
- ・公式サイトURL: http://www.sekizenkan.co.jp
元湯陣屋【 鶴巻温泉 】
https://www.youtube.com/watch?v=r3TLRn2Traw
「元湯陣屋」のある湘南は、昔は別荘地として政財界の名士が別荘を構えた場所で、その人達を接待するために、三井財閥が寮(別荘)として建たものです。 1万坪にも及ぶ庭園は、今でも湘南・丹沢の自然がそのままに息づいています。この旅館で幼少期に監督が過ごしたことから、「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」に影響を与えたことで知られています。監督が従姉妹達と遊んだ庭園の中には、「トトロの木」と名付けられたトチノキもあるんですよ。
■ 基本情報
- ・名称: 元湯陣屋
- ・住所: 神奈川県秦野市鶴巻北2-8-24
- ・アクセス: 鶴巻温泉駅北口から徒歩4分
- ・電話番号: 0463-77-1300
- ・料金:プランによって異なります。プラン一覧から確認してください
- ・公式サイトURL: http://www.jinya-inn.com
子宝湯【 江戸東京たてもの園 】
https://chigyous.wordpress.com/2015/01/03/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E…
子宝湯がある「江戸東京たてもの園」は、桜の名所として知られている都立小金井公園の中にあります。たてもの園の中には、江戸時代から昭和初期までの30棟の建物が復元保存されています。園の東ゾーンの下町中通りの北端にあるのが、子宝湯。映画のモデルになったと言われている子宝湯は、昭和4年に足立区の千住元町に建てられた銭湯の建物です。映画では、千がカオナシを油屋の屋内に引き入れるシーンの情景に、子宝湯の脱衣所の坪庭が出てくると言われています。
■ 基本情報
- ・名称: 江戸東京たてもの園
- ・住所: 東京都小金井市桜町3-7-1
- ・アクセス: 武蔵小金井駅からバスで「小金井公園西口」下車 徒歩5分
- ・営業時間: 【4~9月】9:30~17:30 【10~3月】9:30~16:30
- ・定休日: 毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始
- ・料金: 一般400円 大学生320円 高校生・中学生(都外)200円
- 都内在学中学生・小学生以下無料
- ・電話番号: 042-388-3300
- ・公式サイトURL: http://tatemonoen.jp/index.html
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能登屋旅館【 銀山温泉 】
http://www.notoyaryokan.com/3.html
かつては銀の産出で賑わった銀山温泉は、銀山川をはさんで昔のままの町並みが残されている、大正ロマンあふれる雰囲気の温泉地です。 銀山川に架かる朱い欄干の橋の先にある能登屋旅館は、3階建ての風情のある建物で、3階の屋根には塔屋が、2階にはバルコニーが設けられています。実際の建物は直線的な外観ですが、映画に出てくる油屋の全体の雰囲気に、とても良く似た建物であると感じられます。
■ 基本情報
- ・名称: 能登屋旅館
- ・住所: 山形県尾花沢市大字銀山新畑446
- ・アクセス: 大石田駅よりバスで40分 ※大石田駅から送迎バスあり(問い合わせ)
- ・電話番号: 0237-28-2327
- ・入退出:【チェックイン】14:00 【チェックアウト】10:30
- ・料金:プランによって異なります。プラン一覧から確認してください
- ・公式サイトURL: http://www.notoyaryokan.com
3.宴会場のモデルは「目黒雅叙園」!?
https://www.atpress.ne.jp/news/39410
映画内で、大勢の神様が慰安にやって来て、美味しいものと温泉でおもてなしを受けて寛ぐのは、主舞台となっている油屋の中にある宴会場です。そのモデルになったとして有名な場所が「目黒雅叙園」。館内全体が竜宮城か王宮かと思うぐらいの煌びやかさは、宴会場や湯婆婆の部屋などの雰囲気とそっくり! https://www.atpress.ne.jp/news/34348
かつての目黒雅叙園三号館には、カオナシが暴れる部屋のモチーフとなったと言われている「漁樵の間」、千たち従業員の部屋と言われている「草丘の間」など7部屋があります。 しかし7部屋のある元の三号館は営業には使われておりません。目黒雅叙園はガイドツアーが行われており、「百段階段」と呼ばれる7部屋を結ぶ99段の階段廊下は見学ができるようになっていますよ。
■ 基本情報
- ・名称: 目黒雅叙園
- ・住所: 東京都目黒区下目黒1-8-1
- ・アクセス: 目黒駅から徒歩3分
- ・電話番号: 03-3491-4111
- ・公式サイトURL: https://www.megurogajoen.co.jp
4.引き出していっぱいの窯じいの仕事場が存在!
窯じいの仕事場であるボイラー室は、薬湯用の薬草棚が壁一面に並んでいるのが印象的ですよね。窯じいは浴室からの注文に応じて、必要な薬草を腕を伸ばして取りだし、薬研で調合しています。そんな壁面を全部使った引き出しがある建物というのは、どこにでもあるものではありません。ところが、ジブリスタジオがある小金井市にある「江戸東京たてもの園」には、壁画一面に引き出しがある部屋があるんです。
江戸東京たてもの園・武居三省堂内部の引出しのある部屋
TANAKA Juuyoh (田中十洋)
武居三省堂は、神田須田町に明治初期に創業した文具店。関東大震災後に建てられた店舗の中には、壁一面に引き出しがある部屋があります。 監督はここからインスピレーションを受けたのかもしれません。さらに監督は、スタジオジブリが企画編集した「江戸東京たてもの園物語」という本の中に、「私にとっての武居三省堂」という寄稿をしています。武居三省堂への思いはどんなものか、興味をそそられますよね。この本は「江戸東京たてもの園」「江戸東京博物館」「三鷹の森ジブリ美術館」のみで販売されています。
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5.他にもまだある「千と千尋の神隠し」の世界
http://blog.livedoor.jp/castlenavi/archives/cat_50047619.html
監督が映画に出てくるのは「どこにでもある光景」と言われているいるように、日本国内にもまだまだ「千と千尋の神隠し」のモデルになっていそうな場所は、数多く現存しているように思われます。 各地の温泉旅館など「油屋」とイメージが似ているところや、江戸東京たてもの園のように監督の思い入れのある場所は先ほど紹介した通り。最後に、各地にある映画の世界にひたれそうな場所を、実際にロケが行われたところを含めてご紹介します。
有楽町のガード下の街並み
http://jl1suc.blogspot.jp/2012/01/4.html
東海道線、山手線、京浜東北線、新幹線が行き交う、有楽町から新橋にかけてのガード下は、サラリーマンの社交場として知られている飲み屋街です。ずらっと並ぶ数多くの店先には、提灯が幾つもぶら下がっていて、まるで映画の中に出てくる飲食街そのものの雰囲気を醸し出しています。ここで一番多いのは居酒屋さんですが、中華料理や韓国料理のお店、イタリア料理、ドイツのビアホールなど、多国籍の料理を楽しむことも出来る場所です。
■ 基本情報
- ・名称: 有楽町ガード下
- ・住所: 東京都千代田区有楽町
- ・アクセス: 有楽町駅から新橋方面に向かってすぐ
清州城と清洲古城跡を結ぶ朱橋
https://ja.wikipedia.org/wiki/清須市
映画に出てくる「油屋」に架かる橋は、「積善館」の前にある橋によく似ています。知る人ぞ知るこの朱橋は、愛知県にあります。織田信長が居城とし、桶狭間の合戦に出陣したのが清洲城。その再建天守閣と清洲古城跡との間に架かる大手橋があります。対岸から眺めると、朱い橋の欄干と門の向こうに見える天守閣が、まるで映画のシーンのようです。夜になるとその雰囲気はさらに増します。
■ 基本情報
- ・名称: 大手橋
- ・住所: 愛知県清須市朝日城屋敷
- ・アクセス:清洲駅から徒歩15分
- ・電話番号: 052-400-2911
草津温泉ホテルヴィレッジ・清重館【 草津温泉 】
http://www.kusatsuspa.com/sp/bath.html
映画のエンドロールを見ていると、2つの旅館の名前が協力者の中に入っている事に、気が付かれた方もいるかと思います。映画のモデルとなったロケ地は無いと言うことになっているのに、なぜ温泉旅館の名がでているか不思議ですよね。2つの旅館は、なんと「音」のロケ地で、それぞれのお風呂の温泉の音が、映画の中で使われているという事でした。どんな音なのかは、それぞれの旅館のお風呂に入り、旅館で映画を見ながら確かめるしかないでしょう。
■ 基本情報
- ・名称: 中沢ヴィレッジ
- ・住所: 群馬県吾妻郡草津町大字草津618番地
- ・アクセス: 草津駅より無料送迎バスあり
- ・電話番号: 0279-88-3232
- ・公式サイトURL: http://0932.jp
■ 基本情報
- ・名称: 清重館
- ・住所: 群馬県吾妻郡草津町大字草津280-4
- ・アクセス: 長野原草津口よりバスで25分、草津温泉バスターミナルより徒歩10分
- ・電話番号: 0279-88-2272
- ・公式サイトURL: http://www.kusatsuspa.com
千と千尋の神隠しの世界はいかがでしたでしょうか?本当に映画とそっくりな光景が広がっていますよね。台湾の九份は冒頭のシーンとそっくりで、温泉の建物も日本の旅館によくある風景です。舞台となっている場所は明確にここだと言われてところがあるわけではないのですが、どこかで見たことがあるような古い町並みが描かれていますので、私たちにはどこか懐かしく感じられてしまうのかもしれません。油屋という屋号の旅館が日本各地にあるというのも面白いですね。機会があったらアニメの世界にそっくりのスポットをじっくり訪ねてみませんか?
素材提供:トリップアドバイザー