接待を成功に導くには、美味しい料理に加え、贅沢感と優越感をも味わってもらえるような演出も必要。 ひとたびお店の門をくぐり、食事の時間、食後の寛ぎ時間から、お見送りに至るまで、ホスピタリティ満点なお店が好ましい。 それを実現してくれる究極の形式は、名店を貸切りしての接待!対応してくれる都内の名店5店をご紹介。
「政府関係や企業のトップの方々…ありがたいことに多くの方に来ていただいています」とは、二代目店主の志村幸一郎さん。
野菜も魚介も産地に足を運び、自らの目で見て納得したモノのみを揃える。それらのネタの香りと旨みを閉じ込め、食感が楽しく、しかも軽やかという極上の天ぷらに仕上げる。多くの人を魅了するのは、その味だけが理由ではない。
例えば、ネタによって衣の付け方を変えるのは当然。日本酒を呑む客とビールの客で衣の厚さや硬さを変え、さらに食べ手の体調をみて、揚げ油(綿実油、ごま油、米油)の配合も微妙に調整するなど、食べ手にとりベストの天ぷらを供しようとする、その心遣いの心地よさも大きな理由だ。
接待で使用となれば、その気配りはホスト同様、あるいはそれ以上にゲストに向けられる。
「そういう心配りができるのは、ホストとなる方と人間関係が築けているからこそ」と、事前の来店を貸切りの条件にしているが、接待の場にこれほど向いている店もない。食事中にいきなり商談がまとまることも少なくないと言う。
「『天ぷらの油で口が滑らかになり、話が弾む』なんて、天ぷら屋での接待は、くだけた話もしましょうという時なんですよ」と最後に志村さん。決して厳格なだけではない、この軽やかさもまた、大きな魅力となっている。
銀座にある一室とは思えぬ静謐さと、美食への期待が膨らむ重厚な店構え。"優雅な隠れ家"。そんな言葉が似合うのが、ここ東家だ。
昼、夜とも1組限定で、さらに「予約時に好みの食材はもちろん、ホストとゲストがそれぞれ何名様なのかなど、打ち合わせをさせていただきます」とは接客担当者の弁。
そして供される、厳選の旬材をふんだんに使った日本料理の数々。そう書くと、肩肘張った懐石のような料理を想像するが、「伝統を守りつつも、自分の味覚に従った革新も取り入れています」と店主の坂内晃さんは、遊び心も忘れない。
例えば無花果(いちじく)とフォアグラを合わせた「無花果とフォアグラの胡麻クリームがけ」。洋の雰囲気を感じさせつつも、胡麻の風味が和を実感させる味わい。食べた瞬間に笑顔になるおいしさだ。
「仕事の話ばかりなさっていたのに、帰り際『○○が美味しかったです』と結構覚えていらっしゃる方が多いです」というのも大いに納得。また「お酒を多めに飲まれる方には、コース料理とは別に、肴的なものもお出しします」と柔軟な対応もしてくれる。
そういった"心"遣いは、接待という、とかく緊張しがちな場に温かさを添え、よい意味で寛がせてくれる。プライベートでも接待でも文句なしの満足度との声が多いのは当然だと言える。
2009年4月、歌舞伎座からほど近い東銀座にオープン。江戸前のネタに加え、花板の坂上暁史さんの出身地、北海道の幸も豊富に揃う。
例えば、通称大助(おおすけ)と呼ばれる鱒の介(キングサーモン)をはじめ、折々に登場する異なる鮭。そこに添えられた山わさび。これからの季節は、鱈の白子や幻の魚といわれる鮭児(けいじ)なども登場するそうだ。
「北ならではのネタも、ヅケや味噌漬け、炙りなど、ひと手間かけて、本当に美味しいと思うものを素直にお出ししたいです」
また、「カウンター越しに顔が見える寿司屋こそ、接待に使ってほしい」とも話す。「食事は誰にとっても一番楽しく、リラックスしたい時間。板前が美味しいものを出すのは当然のこと。それを楽しむ居心地のよい空間を作り出すことも板前の仕事ですよね」。
人は美味しいものを食べれば顔がほころぶ。心地よければ態度がほぐれる。両者揃えば、相手の印象はきっとよいものになる。
「だからお客様の接待の成否には、私達にも責任があります。接待側のお客様と一緒にお相手の方をもてなすべく、目を配っています。お話が途切れたときや雰囲気を変えたいときは、板前を巻き込むと便利です。お話を振るなどして、上手に使っていただければ」
接待をする側になったら、ぜひ坂上さんのような、味方にして頼もしい主の店を選びたい。
30年以上にわたり多くのスポーツ選手や文化人が贔ひいき屓にする西麻布の名店が移転、六本木の路地裏に佇む一軒家風の構えで再開した。
名物は出汁の旨さが一、二を争うとされるスッポンの鍋。京都楽焼の鍋をおよそ45分間空焼きし、捌いて一日寝かせたスッポンの身と濃厚なエキスの煮こごりを投入。グラグラ煮立つ鍋から身を取り噛み締めると、軟らかな肉から凝縮された旨みがジュワッ。
ひと口食べたら夢心地で無言になりがちなので、仕事の話は鍋の前、寿司や手羽先をつまみながら済ませたい。
築地は一流の目利き・石宮から仕入れる最高級のまぐろ。捌いて握るのは、皇室に出張して握った経験もある大将と二代目若大将だ。
ふたりは一匹のまぐろに驚くべき多彩な味があることを教えてくれる。例えば大トロの先端の希少部位・砂ずり。口の中でとろけるも脂はさっぱりしたカマトロ。トロのごとき味わいながら実は赤身のヒレ下。
知識・技術・経験を兼ね備えた職人だからこその握りだ。一流の仕事ぶりがまぐろだけでないことは言わずもがな。驚きと感動というもてなしの決定版だ。
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ホスト以上の気配りと美味で、ゲストも大満足『てんぷら小野』
貸切りは8名から。ただし、貸切り料金を払えば2名からでも受けてくれる「政府関係や企業のトップの方々…ありがたいことに多くの方に来ていただいています」とは、二代目店主の志村幸一郎さん。
野菜も魚介も産地に足を運び、自らの目で見て納得したモノのみを揃える。それらのネタの香りと旨みを閉じ込め、食感が楽しく、しかも軽やかという極上の天ぷらに仕上げる。多くの人を魅了するのは、その味だけが理由ではない。
例えば、ネタによって衣の付け方を変えるのは当然。日本酒を呑む客とビールの客で衣の厚さや硬さを変え、さらに食べ手の体調をみて、揚げ油(綿実油、ごま油、米油)の配合も微妙に調整するなど、食べ手にとりベストの天ぷらを供しようとする、その心遣いの心地よさも大きな理由だ。
接待で使用となれば、その気配りはホスト同様、あるいはそれ以上にゲストに向けられる。
「そういう心配りができるのは、ホストとなる方と人間関係が築けているからこそ」と、事前の来店を貸切りの条件にしているが、接待の場にこれほど向いている店もない。食事中にいきなり商談がまとまることも少なくないと言う。
「『天ぷらの油で口が滑らかになり、話が弾む』なんて、天ぷら屋での接待は、くだけた話もしましょうという時なんですよ」と最後に志村さん。決して厳格なだけではない、この軽やかさもまた、大きな魅力となっている。
旬を楽しませる料理と温かなサービスに大満足『東家』
最大8名までの予約が可能。昼・夜一組限定なので、必ず予約を銀座にある一室とは思えぬ静謐さと、美食への期待が膨らむ重厚な店構え。"優雅な隠れ家"。そんな言葉が似合うのが、ここ東家だ。
昼、夜とも1組限定で、さらに「予約時に好みの食材はもちろん、ホストとゲストがそれぞれ何名様なのかなど、打ち合わせをさせていただきます」とは接客担当者の弁。
そして供される、厳選の旬材をふんだんに使った日本料理の数々。そう書くと、肩肘張った懐石のような料理を想像するが、「伝統を守りつつも、自分の味覚に従った革新も取り入れています」と店主の坂内晃さんは、遊び心も忘れない。
例えば無花果(いちじく)とフォアグラを合わせた「無花果とフォアグラの胡麻クリームがけ」。洋の雰囲気を感じさせつつも、胡麻の風味が和を実感させる味わい。食べた瞬間に笑顔になるおいしさだ。
「仕事の話ばかりなさっていたのに、帰り際『○○が美味しかったです』と結構覚えていらっしゃる方が多いです」というのも大いに納得。また「お酒を多めに飲まれる方には、コース料理とは別に、肴的なものもお出しします」と柔軟な対応もしてくれる。
そういった"心"遣いは、接待という、とかく緊張しがちな場に温かさを添え、よい意味で寛がせてくれる。プライベートでも接待でも文句なしの満足度との声が多いのは当然だと言える。
接待する側もされる側も心地よく美味しく『鮨 銀座おのでら』
備前焼の寿司皿(伊勢崎競 作)が並ぶ白木のカウンター。貸切りは8名以上で2009年4月、歌舞伎座からほど近い東銀座にオープン。江戸前のネタに加え、花板の坂上暁史さんの出身地、北海道の幸も豊富に揃う。
例えば、通称大助(おおすけ)と呼ばれる鱒の介(キングサーモン)をはじめ、折々に登場する異なる鮭。そこに添えられた山わさび。これからの季節は、鱈の白子や幻の魚といわれる鮭児(けいじ)なども登場するそうだ。
「北ならではのネタも、ヅケや味噌漬け、炙りなど、ひと手間かけて、本当に美味しいと思うものを素直にお出ししたいです」
また、「カウンター越しに顔が見える寿司屋こそ、接待に使ってほしい」とも話す。「食事は誰にとっても一番楽しく、リラックスしたい時間。板前が美味しいものを出すのは当然のこと。それを楽しむ居心地のよい空間を作り出すことも板前の仕事ですよね」。
人は美味しいものを食べれば顔がほころぶ。心地よければ態度がほぐれる。両者揃えば、相手の印象はきっとよいものになる。
「だからお客様の接待の成否には、私達にも責任があります。接待側のお客様と一緒にお相手の方をもてなすべく、目を配っています。お話が途切れたときや雰囲気を変えたいときは、板前を巻き込むと便利です。お話を振るなどして、上手に使っていただければ」
接待をする側になったら、ぜひ坂上さんのような、味方にして頼もしい主の店を選びたい。
鍋を囲めば話が弾む 日本ならではのもてなし『鮨・鍋料理 さぶ』
浜名湖服部中村養鼈場の最高級スッポン鍋。最後は雑炊で。貸切りは4名から30年以上にわたり多くのスポーツ選手や文化人が贔ひいき屓にする西麻布の名店が移転、六本木の路地裏に佇む一軒家風の構えで再開した。
名物は出汁の旨さが一、二を争うとされるスッポンの鍋。京都楽焼の鍋をおよそ45分間空焼きし、捌いて一日寝かせたスッポンの身と濃厚なエキスの煮こごりを投入。グラグラ煮立つ鍋から身を取り噛み締めると、軟らかな肉から凝縮された旨みがジュワッ。
ひと口食べたら夢心地で無言になりがちなので、仕事の話は鍋の前、寿司や手羽先をつまみながら済ませたい。
胸を打つ日本一のまぐろで歓待の心を伝える『日本橋 寿司金』
築地は一流の目利き・石宮から仕入れる最高級のまぐろ。捌いて握るのは、皇室に出張して握った経験もある大将と二代目若大将だ。
ふたりは一匹のまぐろに驚くべき多彩な味があることを教えてくれる。例えば大トロの先端の希少部位・砂ずり。口の中でとろけるも脂はさっぱりしたカマトロ。トロのごとき味わいながら実は赤身のヒレ下。
知識・技術・経験を兼ね備えた職人だからこその握りだ。一流の仕事ぶりがまぐろだけでないことは言わずもがな。驚きと感動というもてなしの決定版だ。
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