青ヶ島村は東京都でありながら日本で最も人口が少ない村。初めて聞いたという人もいるかもしれませんが、八丈島の向こうにあるんです。そんな絶海の孤島とも言えるこの地が今、密かに人気を呼んでいます。眼を見張るような絶景はまさにここにしか存在しない素晴らしさ!ただし断崖絶壁に囲まれたロケーションはしばしば上陸が困難で、行くのが非常に難しいのです。今回はミステリアスなこの島についての基礎知識と観光情報をまとめてみました。
1.とは?どんなところが魅力?
青ヶ島村は東京都に所属する離島で、一番近い八丈島とも約70キロも離れています。住所は「東京都青ヶ島村無番地」。郡などの所属はなく、島全域が無番地で届くのだそうです。どうやって届くのか不思議ですよね。その秘密は後半で紹介します。上陸手段は船のみ、宿泊は民宿しかないという観光地化されていない不便な場所なのですが、その不便さが、便利になりすぎた現在では魅力となり、行ってみたい場所にランクインされているようです。
民放局のサバイバル番組で使用されたので、島の写真などを見ると、「あ、見たことある」という場所も多いんです。このほかにも空撮や他局の番組など、取り上げられたり使われている映像はたくさんあります。
魅力といえば、商業化されていないからこそ残っている自然を利用した施設や自然そのもの。夜ともなれば空には星が無数に輝き、まるで宝石箱をひっくり返したかのような星空を観察することができます。村では「星の箱舟」というキャッチフレーズで、360度の大パノラマを宣伝しています。
2016年で人口166人、日本で人口が最も少ない地方自治体!平均年齢は30歳代前後というから驚き!それは島の人の半分は島外からきている村役場の人、建築現場の人、学校役員やその家族からなるからです。離島でこの平均年齢は珍しいですね♪
2. 青ヶ島村の歴史と地理
青ヶ島の歴史の始まりははっきりとはわかっていません。記録が残っている書物などに名前が登場するのは15世紀ごろ。ただし人が住んでいたという記述ではなく、海難事故の記録のみであることから、周囲の海流が荒く複雑であることは推測できますね。東京都からおよそ360km、八丈島からも約70kmという距離と、周囲を流れる黒潮から、船の航路が確保されるまでは孤島であったことは容易に想像ができます。だから、いつどのようにして島ができたのかはわかっていないのかもしれません。
青ヶ島の名前の由来は八丈島からの見た目に由来します。八丈島から青ヶ島を見たとき、木々の緑が青々と茂り、海の上に浮かぶ緑の島のように見えることから名前が付いたのだとか。
そして世界でも珍しい二重カルデラ(内輪山と外輪山)をもつ地形は、海から見れば絶海の孤島、陸から見れば天を仰ぎ見るような壁に見え、島への上陸を拒むかのようです。
青ヶ島村は経度から言えば、九州の宮崎県とほぼ同じで、島全体を黒潮の暖流が流れているので平均気温で言えば東京はもちろん宮崎県よりも高いほど!一年を通じて10~25℃と温暖な気候。しかし平均湿度が85%あるので独特な青ヶ島の気候が存在するのは確かです!
3.見どころ・お勧め
番地なしで郵便が届く
先に紹介した「無番地」で郵便が届く仕組みについて紹介します。実は島には郵便局が1か所しかありません。そして2012年現在の人口は平成22年4月現在で165人しかおらず、ほとんどの世帯が「奥山」「菊池」「佐々木」「広江」のいずれかなので、下の名前をもとに配達しているのだそうです。となると、局員さんはほぼ全員の名前を憶えているということになりますね。200人足らずなら、毎日見ていれば覚えられなくもない人数です。でも、すごいことですよね^^
郵便局員の記憶力のすごさや島暮らしのみんな知り合いの精神が行き届いた青ヶ島独特のシステム!島中を歩くとみんな声をかけてきてこんにちわ→観光?っと話が続くアットホームな島♪日本の昔の風土が残っている昔懐かしい島です。
星がとてもきれいに見える「星空コロシアム」池之沢地区周辺
この地区は民家や街灯がほとんどなく、星灯りだけが照明器具のような場所。内輪山のカルデラの中に入って空を見上げれば、そこは天然のプラネタリウム!という立地なので、星好きには垂涎のスポットになります。星のファンでなくとも「素晴らしい写真が撮れる場所」として、いま密かにブームになりつつあるんですよ。篠原ともえさんのお祖母さんが青ヶ島在住ということもあり、幼少のころは篠原さんもこの島で過ごされたとこと。その縁で、公式ホームページでは星についてのコメントを寄せています。
池の沢地区には役場に申請すれば無料で使用できるキャンプ場があります。青ヶ島の邪魔される街灯や店の明かりがないところで思う存分星空観察ができます。キャンプ場は小さな炊事場と簡易かまどにトイレがあります。飲料水はないので役場前で調達してくださいね。
一度は経験してみたい「ひんぎゃ」や「サウナ」
ひんぎゃとは青ヶ島の島言葉。火山からの蒸気が噴き出ている所、一般に言う「火山の噴気孔」のこと。島にはガスが通っているのですが、蒸し料理などはこのひんぎゃを使って作ることが多いのだそうです。家庭で蒸し上げるよりも高圧かつ高温のひんぎゃで蒸したお料理はさっぱりしていておいしいのだとか。同じようにひんぎゃを利用して作られているふれあいサウナ。もともと観光地としての営業ではなく、島の人たちが憩いの場として使っている場所なので、営業時間などはあるようなないような、だそうです(笑)
シャワーとジャグジーありで、一人300円(タオルとマットつき)。平日は16時からで土日祝日は14時から20時までで、受付は19時までです。定休日は毎週水曜と毎月最終火曜日です。行って休みなんてことは気を付けてくださいね。中は小さな3.4個のシャワーのあるお風呂と、木の3段のサウナです。
一度は食べてみたい島の野菜
石垣島など、他の離島でも食べられることがあるオオタニワタリは、沢山自生しているけど食べるというよりも焼酎に使うことが多いのだとか。島唐辛子、島きゅうりなどの特産野菜から、たらの芽、ツワブキ、ノビル、アシタバなど全国的にも有名なものまで、島で採れる野菜はさまざま。お宿ではいろいろな調理法で提供してくれます。
11月には”カンモ”です!!これはさつまいものこと。青ヶ島の焼酎造りには欠かせないものでいろんな種類のカンモを育てています。この時期はサツマイモを干した干しイモもおいしいですね♪干した干しイモを粉状にしてお団子にしたのは「キンボ」、さつまいものツルも炒めて食べられます!
宿泊はキャンプ場も含めて7か所
宿泊施設は民宿のみ。キャンプ場が1か所と民宿なんですが、キャンプ場は飲み水を自力で汲みにいかないといけないので、ほとんどの人が民宿を利用します。島内にはレストランがないので、民宿は1泊3食(!)というシステム。目の前の海で採れたトビウオのお刺身や、ひんぎゃで燻製した干物など、海の幸も堪能できますよ。
一般的な民家の一室のような民宿などもあります。家庭的な雰囲気で、一つの宿も10部屋以下の所がほとんど。洗濯機が借りられたりしますが、最低限のアメニティです!歯ブラシ、タオル、ドライヤ―など。パジャマも要確認です。しかし食事は3食!!地元の温かな郷土料理が楽しめます♪
お土産にするなら「ひんぎゃの塩」「青酎」
観光地化されていないということは、お土産屋さんも特別にはないということ。ですが海水をひんぎゃで煮詰めたひんぎゃの塩や、もともとは妻が夫のために作っていたという青酎は日用品店などで購入可能です。青酎は製造所があるわけではなく、各家庭や民宿でそれぞれに作っています。材料や分量などはオリジナルなので、ボトルにより味が違います。どの青酎が好きかは呑み比べないとわかりません(笑)
大きな製造工場があるわけではないので、大量生産ができません!その為”幻のお酒”と言われています。購入は民宿で販売されているところもあるの聞いてみてくださいね。問い合わせは:青ヶ島酒造合資会社(04996-9-0332)です。いくつか種類があるので詳しく知りたい方はお電話で。
島内一番の賑わい!牛祭り
島を出た人たちが一斉に帰ってくるのがこの牛祭り。お正月に匹敵するほどの賑わいとなり、島中が沸き立つ日でもあります。時期はちょうど旧暦のお盆の手前8月10日で、曜日に関係なく「この日」に行われます。毎年新しいデザインが作られる牛祭りTシャツ(通称牛T)はファンが多く、島外の人でも買い求める人が多いそうです。
島には牛Tのほかに、青酎Tや還住太鼓Tシャツ(通称還住T)などもあり、お土産として買い求める人もいれば、コレクションとして買う人もいるとのことですよ。
この日はフェリーにチャーター機を使ってたくさんの人が島に帰省します。宿の予約は確実にしてから行ってくださいね。このお祭りでは小さい子供たちの発表会や太鼓に腕相撲やTシャツなどの販売も!晩には星空いっぱいの夜空に花火が打ち上げられます♪とっても近くに花火が見えますよ!!
4.詳細
青ヶ島へは直接本土からはいけません。まず八丈島を経由して行きます。東京発八丈島行の船は晩の22時30分発で翌朝の9時に八丈島へ!八丈島からは9時30分から次の青ヶ島行の船が出ます。青ヶ島到着は船を全部使うと、翌日の昼12時に到着になります。旅の予定の参考にして下さい!■ 基本情報
- ・名称:青ヶ島村
- ・住所:東京都青ヶ島
- ・アクセス:空路の場合は羽田空港→八丈島経由青ヶ島で、八丈島までは飛行機で約50分、八丈島からヘリコプターで約20分/海路の場合は竹芝桟橋→八丈島経由青ヶ島で、八丈島までは橘丸(連絡船)で約11時間、八丈島からあおがしま丸(連絡船)で約2時間30分
- ・問い合わせ先:04996-9-0111(青ヶ島村役場)
- ・民宿料金:1泊3食7500円~、素泊まりは要相談 。各民宿に問い合わせてください
- ・公式サイトURL:http://www.vill.aogashima.tokyo.jp/top.html
青ヶ島村についてご紹介しましたが、いかがでしたか?簡単には辿り着けないこのレア感がまた魅力的なんですよね。交通手段が発達しあらゆる情報が氾濫している現代にあって、ほとんど観光地化されていないというのが逆に新鮮で興味をそそられますよね。アクセスは不便ですが、運よく上陸できた暁には世界的にも有名な二重カルデラや降るような星空を見ることが出来ます。思わず息を飲むような絶景に出会ってみたいものですよね!行ってみたいと思った方、是非計画を立ててみては。