東京から船で25時間半、遠く離れた太平洋の海上に浮かぶ小笠原諸島は、島固有の動植物やイルカが泳ぐエメラルドブルーの海、ウミガメ達が産卵に訪れる真っ白なビーチ、シュノーケルやダイビングで出会えるカラフルな熱帯魚など自然美の数々で訪れる人々を魅了する島々です。 人生で一度は行きたい場所、小笠原諸島父島の魅力をご紹介します。
「東洋のガラパゴス」と呼ばれる小笠原諸島とは
平成23年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島(おがさわらしょとう)は、東京から南南東に約1,000kmの太平洋上にある30あまりの島々です。
小笠原諸島は形成以来ずっと大陸から隔絶していたため、独自の進化を遂げた貴重な動植物が大変多く、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれています。小笠原諸島で人が暮らしているのは父島と母島のみで、自衛隊などの施設がある硫黄島、南鳥島を除く他の島々は無人島です。
東京から父島へ
東京から小笠原を訪れるには東京港竹芝桟橋から父島二見港まで定期船「おがさわら丸」が就航しており、乗船時間は約25時間半程かかります。飛行場はありませんので船が唯一の交通手段になります。
小笠原諸島を台風が直撃することはまれですが、小笠原の南の海上で発生する台風によりおがさわら丸の東京出港が遅れたり、父島出港が早まるなど船便に影響をすることがあります。欠航することはほとんどありません。なお、父島から伊豆諸島開発の「ははじま丸」で南へ約50km(所用時間約2時間10分)のところに母島があります。はじま丸は予約ができません。乗船券はおがさわら丸船客待合所隣のははじま丸船客待合所でお求めください。
7月、新おがさわら丸就航!!
2016年7月、現在のおがさわら丸に代わって、新おがさわら丸が就航します。
「大きく、早く、快適に!!」をコンセプトにした新おがさわら丸は、世界遺産登録後の旅客数の増加に対応するため旅客定員を769人から894人とし、個室の増加や床面積を30%アップさせるなど、より快適な船旅が期待出来ます。
運行時間は現船の25時間半から24時間と時間短縮され、これにより東京発の時間が朝のラッシュアワーを避けた11時になり、父島からの東京への帰りの船も15:30発と最終日もゆっくりと滞在する事が可能になりました。
乗船券は出帆日の2ヶ月前から発売されています。 運航についての予約問い合わせ等は 小笠原海運にお問い合わせください。
小笠原・父島の宿泊施設
島内でのキャンプや野営は禁止です。島内の宿泊施設には限りがあるため事前に必ず宿泊施設を予約しましょう。 年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みなどはかなり早い時期から宿が埋まってしまうので、船のチケットを買う前でも先に予約をしておくのがおすすめです。 父島の宿は、民宿やペンション、ホテルなど様々なタイプの宿があります。
おがさわら丸が到着する港近くの大村地区は飲食店やスーパーなどが近くにあるため便利で賑やかで、それ以外の地区(宮之浜・清瀬・奥村地区/境浦・扇浦・小港地区)は海や自然が近くでのんびり過ごすのにぴったりです。
宿の中には夕食付のプランを設けていないところも多く、その場合は島内の飲食店で食事をとります。私が利用した宮之浜のペンションも夕食はついていなかったため、宿の方が毎晩中心地区まで車で送迎してくれ、好きなお店に入りました。
父島には大村地区を中心に20以上の飲食店があり、和食、洋食、中華料理や寿司屋、居酒屋などファミリーからカップルまで好みに合わせた店を選ぶことができます。
島内での移動
父島には約1時間に1便の間隔で小笠原村営バスが運行されています。またレンタカー・レンタバイク・レンタサイクルを利用すれば行動範囲がぐんと広がります。ただし、いずれも台数に限りがあるので、早めの確保をおすすめします。ダイビングツアーや探検ツアーなど各種ツアーを申し込む場合は、宿までの送迎を行ってくれる事が多いようです。また大村地区から離れた地区の宿ではサービスとして車の送迎をしてくれるケースもありますので、宿やツアー会社にお問い合わせ下さい。
村営バスのルートや時刻表、レンタカー・レンタバイク・レンタサイクルなど詳細は 小笠原村観光協会のホームぺージをご確認下さい。
エメラルドブルーのビーチでシュノーケル
シュノーケルが目的で小笠原へきた我が家は、島内の数あるビーチの中から子どもと一緒にシュノーケルがしやすいビーチを選び、宮之浜と製氷海岸のビーチで泳ぎました。
夏休みでしたが、宮之浜はほとんど貸し切りの状況で沢山の熱帯魚を見る事が出来ました。カラフルの魚に混じって大きな魚を見かけたと思ったらネムリブカと言われるサメでした。ネムリブカは昼間は眠っているごく大人しいサメですが、見た目は怖いのでびっくりしますね。
製氷海岸は枝珊瑚が一面に群生しているビーチです。水面すれすれまで枝珊瑚が張り出しているので泳いでいる時にお腹が擦れてしまわないよう注意が必要です。運がいいと昼寝しているカメに出会う事があるようです。子ども達はサンゴを壊さないように枝サンゴが群生しているエリアの外でシュノーケルしましたが、この日はキイロハギなど黄色いお魚が沢山いました。
カメと触れ合い、カメを知るなら小笠原海洋センターへ
製氷海岸の裏手に、地元の方に「カメセンター」と呼ばれ、親しまれている小笠原海洋センターがあります。海洋センターには「展示館エリア」と、実物のカメを見られる「飼育エリア」があります。飼育エリアでは、アオウミガメの生残率をあげるために行っている短期育成放流プログラムが行われており、水槽に通年250~300頭の子ガメが飼育されています。ウミガメのオヤツをカメに与える給餌体験や、子ガメを手に持って一緒に写真を撮る記念撮影などが人気のプログラムです。 より詳しく知りたかったり、意外なウミガメの生態などを聞けるセンタースタッフによるウミガメ教室も開催されています。
小笠原海洋センター http://bonin-ocean.net/
住所:〒100-2101 東京都小笠原村父島字屏風谷
電話:04998-2-2830
二見港から徒歩で30分、自転車で10分、車で5分程となります。
村営バスにてお越しの際は、運転手さんに「海洋センターまでお願いします。」と伝えると途中下車させてくれます。
ポストカードの景色!!南島ツアー
小笠原の観光案内やポストカードの景色に採用されることが多いのが、この南島の景色。南島は「沈水カルスト地形」という特殊な地形の小さな無人島です。多様な植生に加え海鳥やウミガメの産卵地でもある南島の貴重な動植物を守るため入島制限を設けています。南島はガイドが同行しないと上陸する事が出来ないため、ツアーなどを申し込んでください。
南島への上陸ルートはいくつかありますが私たちはボートでサメ池に進入し上陸しました。
その後アホウドリの巣などを見ながらくねくねと小道を登り、丘の上から真っ白な砂浜と青い海の素晴らしい扇池の光景を見る事が出来ました。
扇池の真っ白な砂丘には、1,000~2,000年前に絶滅したヒロベソカタマイマイの化石が数多くあります。また、産卵のために島に上陸した海ガメが砂浜を這った跡が、まるでトラックの車輪の跡のように砂浜についていて、時空を超えた生きものたちの営みの世界の中に人間が足を踏み入れたんだという不思議な感覚を覚えます。
入島制限だけでなく、天候により上陸が難しい事も多く、簡単に訪れる事が出来ない南島ですが、小笠原を訪れたら是非見て欲しい景色がここにはあります。
海中公園で魚たちと泳ぐ
南島ツアーに含まれる兄島瀬戸海中公園のシュノーケリング体験では、ボートからエントリーし、沢山の熱帯魚の群れと泳ぐことが出来ます。餌付けされているため魚と一緒に水中写真を撮ろうとしても人の姿が隠れる程の魚影に出会えます。この海中公園に向かう途中、1匹のイルカが泳ぐ様子をボートの上から見る事が出来ました。運が良ければイルカの群れやカメを見る事が出来ます。
ダイビングやドルフィンスイム、南島上陸ツアーなど各種アクティビティやツアーは小笠原村観光協会のホームページで探すことが出来ます。
水平線に陽が沈む
宿の方が是非見て欲しいと、車に乗せて連れて行ってくれたのが三日月山にある、ウエザーステーション展望台。ここから見えた太平洋に沈む黄金の夕日は、文字通り息をのむ美しさでした。見渡す限りの水平線に夕陽が海を金色に染めながら落ちていく光景は、この島が広い太平洋に浮かぶ小さな島なんだと深く実感させてくれました。ウエザーステーション展望台はバス停からも遠く、レンタカーやツアーなどで訪れるのがよいでしょう。
一期一会、感動の見送り!
おがさわら丸が東京に発つ最終日、東京へ帰る観光客を見送り沢山の島の人々が一生懸命に手を振る姿に、船に乗り込んだ観光客も船内に入ることなく甲板から手を振ります。
船が港を出ても、堤防の先まで走って追いかけ、手を振りながら海に向かって飛び込む人々、いくつものボートが追いかけてきて最後は何かを叫びながら海を飛び込む人々の姿に、甲板の上も涙で島との別れを惜しむ人々が沢山いました。
東京から25時間半、次はいついけるか分からない土地だけに出会いを大切にする島の人々の温かさに触れた旅でした。心が疲れた方はぜひ小笠原にどうぞ。島の自然と人のぬくもりに癒される時間が過ごせます。
→hinata〜きっとそとが好きになる〜