つるや旅館は、長野県の軽井沢にある、400年の歴史を持つ宿屋です。避暑地や別荘地として利用し、素晴らしい自然の景観を見に訪れることも多いと思います。江戸時代には既に、中山道を歩いて行くたくさんの旅客を癒す場所として重視されました。また、明治以降には、外国人や、権威ある文豪たちにも、人気のスポットとして愛され続けています。今も変わらず経営している裏には、一体どのような魅力が隠されているのでしょうか。
1.「つるや旅館」の魅力ポイント
1.「つるや旅館」の歴史 その1
「つるや旅館」は江戸時代にはすでに存在していました。江戸時代、軽井沢は五街道(ごかいどう)の1つ、中山道(なかせんどう)が通る宿場町(しゅくばまち)でした。中山道の難所の1つとして知られる碓氷峠(うすいとうげ)の西側の宿場町として栄えていました。「つるや旅館」は宿場町(しゅくばまち)、軽井沢宿の「旅籠鶴屋(はたごつるや)」として開業していました。碓氷峠(うすいとうげ)を越えた旅人や、これから峠を越える旅人たちのおかげでにぎわっていたのです。
当時「つるや」の当主は、代々「仲右衛門」(なかえもん)が通り名でした。隠居すると、通り名は「作兵衛」と呼ばれました。旅館や家の長であることと、名前がセットになっていたんですね。代を譲り、「仲右衛門」が「作兵衛」になってすることの一つは、水車小屋でそばの実をひくことでした。水車小屋のあった通りは、今では爽やかな散歩道となり、「水車の道」と呼ばれています。
2.「つるや旅館」の歴史 その2
幕末になり、参勤交代が終わったとき、そして明治18年には、横川から軽井沢間に鉄道馬車が通じるようになったとき、軽井沢は江戸時代の賑わいを失いました。路線から外れ、旅人が訪れることがなくなっていたのです。この時代、軽井沢は江戸より前のときのように、淋しく貧しい村に戻ってしまうかのようでした。しかし、この軽井沢の冷涼な気候に目をつけたものたちがいました。開国とともに日本へとやってきた外国人たちです。
日本の夏は気温と湿度が高く、冷房設備が整っていない明治時代、外国人にはつらいものでした。カナダ人宣教師のアレクサンダー・クロフト・ショウがたまたま軽井沢を訪れ、故郷トロントの風土と似ていると感じました。1888年(明治21年)、ショウは「つるや」(現在のつるや旅館)の主人の佐藤仲右衛門のあっせんによって別荘を設け、これにより軽井沢は避暑地としての歴史の幕を開けました。この最初の別荘は、後に移築され、ショーハウス記念館としてショー記念礼拝堂の裏に今でもあります。
3.文人(ぶんじん)たちに愛され
その後、信越本線の長野方面が開通して軽井沢駅ができ、1893年(明治26年)には碓氷峠(うすいとうげ)を越える区間も開通し、東京と直結しました。再び、軽井沢を人々が訪れるようになったのです。「軽井沢ホテル」や「三笠ホテル」、「亀谷ホテル」など多くのホテルができ、軽井沢は名高い避暑地になりました。外国人からは、軽井沢は、「日本三大外国人避暑地」として愛されました。ちなみに他の避暑地の名前を挙げれば、「山の軽井沢、湖の野尻湖、海の高山」です。
そして「つるや旅館」はただ歴史が長いだけではなく、多くの文学者たちに愛されました。愛されただけではなく、実際に小説の中に出てきます。堀辰雄の「美しい村」は、この旅館が舞台となっています。明治時代から昭和時代にかけ、大勢の文豪がつるや旅館を訪れました。芥川龍之介、谷崎潤一郎、遠藤周作など大変な顔ぶれです。
4.心身ともに温まる湯
「つるや旅館」のお湯は軽井沢の天然水を使ったミネラル湯。心身ともに温まる湯です。男女それぞれに大浴場があります。浴槽や壁は石造り、それも活性石(かっせいせき)でできています。天然の湯を活性石(かっせいせき)を通すことで柔らかく、体が温まりやすい湯になっています。疲労回復に効能があると言います。また血行が良くなり、美容や健康に良さそうです。ちなみに天然の温泉ではありません。
客室のアメニティーとして、シャンプー、固形石鹸、カミソリ、歯ブラシ、コットン、ボディータオル、シャワーキャップ、化粧水シート、乳液シート、アイシート、フェイスマスクが揃っています。便利ですね。軽井沢と言えば有名な避暑地ですが、同時に温泉地としても名高いです。北軽井沢も含めるならば、温泉は日帰りのものもたくさんあります。「つるや旅館」を拠点としながら、色々な温泉を回るのも楽しいかもしれませんよ。
5.補足
ノスタルジックな造りのホテルですが、その一方で現代的な造りにもなっています。館内は、無線LAN (Wi-Fi) が通っています。無料で、インターネットに接続できます。また小さなお子様を連れたご家族にも優しい造りです。また誕生日ケーキも事前に連絡しれば用意してくれます。駅からの送迎はありませんが、駅からはタクシーで5分ほど、料金は1,000円くらいで抜群の立地です。
客室のアメニティーは「4.心身ともに温まる湯」の章で書かれている以外にも、使い捨てスリッパ、シューズポリッシャー、ミネラルウォーター、お茶(緑茶、そば茶、梅こぶ茶)、コーヒー、紅茶、ジャスミンティーなどが完備。飲み物の種類がたくさんありますよ。食事は残念ながらお部屋では食べることができず、お食事処でいただくこととなります。お食事処や複数の和室小広間があり、会食や法要などの相談にも乗ってくださいます。
2.「つるや旅館」
「つるや旅館」は、名前こそ違いますが軽井沢が避暑地としての歴史の幕を開ける前から存在する、貫禄ある旅館です。どこもかしこも古き良き軽井沢を連想させる旅館で、のんびりとした時間を過ごすことができます。
前述の通り、文豪たちに愛された宿です。日本文学のファンが訪れ、かの文学者たちが訪れたという明治、大正、昭和初期に思いをはせても楽しいです。
3.実際に訪れた方の声
彼これ、20年近く利用させてもらってます。 最近はお盆過ぎに、夏の疲れを癒しに。 従業員の方も皆アットホームで、寛げます。 料理も美味しく、場所も便利。
4.お子様連れのお客様に
ぱくたそ
「つるや旅館」には小さなお子様連れの家族に優しい旅館です。様々なグッズやサービスがあります。事前に連絡をすれば、アレルギーに配慮した食事にもしてくれます。大浴場は幼児も利用できますよ。
5.合わせて読みたい参考ページ
- ショー記念礼拝堂
- 旧三笠ホテル
- 軽井沢町公式ホームページ
6.基本情報と地図
■ 基本情報
- ・名称:つるや旅館
- ・住所:〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町旧軽井沢678
- ・アクセス:JR軽井沢駅からはタクシーで5分ほど、料金は1,000円くらい。バスだと、旧軽井沢ロータリーまで乗り、そこから旧軽銀座の山手に向かって徒歩5分ほど。
- ・電話番号:0267-42-5555
- ・料金:\10000~\30000
- ・公式サイトURL:http://www.tsuruyaryokan.jp/
つるや旅館の魅力を、遥か昔の江戸時代からさかのぼってお伝えしました。老舗といって、ただ昔の造りや伝統・格式をそのまま用いているのではありません。現代の人にも受け容れられるようにWiFiを設置し、子供にも来やすくするため食品アレルギーの対応をするなど、宿泊客への様々な配慮がなされています。また、温泉につかり、ワインや美味しい料理に舌鼓を打てば、幸せな気分になれますよ。歴史ある宿屋で、観光や旅行の疲れを癒していきませんか?
素材提供:トリップアドバイザー、ぱくたそ