2020年の東京オリンピックまで5年を切った。すでに銀座、六本木、表参道といった街は過去に例を見ないほど訪日外国人で賑わっている。 飲食店を経営していて最近特に感じるのは、訪日外国人がディナーの際に日本のワインに非常に興味を示すことだ。
グルメに敏感な東カレ読者の皆様であれば、すでにご存知かとも思うが、日本のワインはここ数年めざましく発展を遂げて世界的な評価を高めている。その背景には日本の風土に合ったブドウ栽培の研究、醸造技術の進歩、ボルドーやカリフォルニアなどで本格的にワイン造りを学んだ日本の若手醸造家たちの帰還などがあるが、つまりは単純に「美味しく」なっているのである。
今回は日本ワインの中でも最もワイナリー数が多く、今年7月16日に地理的表示が国税庁告示により日本ではじめて認定された「山梨」のワイナリーの中から、独断と偏見で私が選んだ「東京オリンピックまでに知っておくべき5つのワイナリー」を紹介する。
※五十音順
1. 麻屋葡萄酒株式会社
和食に合う和の旨みのあるワイン
麻屋葡萄酒は1921年の創業以来、「産地の風土を生かしたワイン造り」をコンセプトに家族経営による丁寧なワイン造りを続けている。
「麻屋葡萄酒/花鳥風月シリーズ」
近年は「地域に根差すワイナリーだからできること」を掲げ、2005年から地元の山梨で育まれてきた固有品種から「花鳥風月」シリーズを販売している。
和食に合う日本的な旨みのあるワインとして、日本ワイン通のあいだで高評価を得ている。
http://www.asaya-winery.jp/
2. 勝沼醸造株式会社
文豪、川端康成氏も愛したワイン
勝沼醸造は1937年の創業以来、山梨県勝沼に根ざし早くから欧州系のぶどう品種で積極的にクオリティの高い日本のオリジナルワインをつくってきたワイナリーだ。
戦後間もない頃、川端康成氏と親交のあった完治氏(勝沼醸造二代目有賀清弘氏の弟)が家でつくったワインをお土産に持っていったところ、川端康成氏はとても気に入り、お返しに著書をプレゼントしてくれたという逸話が残っている。
「勝沼醸造/アルガブランカ ヴィニャル イセハラ」
勝沼醸造で私がお薦めするのは同社のトップブランドに位置づけられている甲州種でつくる「アルガブランカ」である。
甲州種で世界に通じるワインをつくってみせるという、現社長の有賀雄二社長の並々ならぬ情熱を感じる1本だ。
http://www.katsunuma-winery.com/
3. 株式会社くらむぼんワイン
穏やかな日本の庭を感じるワイン
宮沢賢治の童話「やまなし」にでてくる言葉「くらむぼん」。人間と自然の共存、科学の限界、他人への思いやりを童話で伝えた宮沢賢治に共感してこの社名が名付けられた。
代表の野沢たかひこさんの自然な味わいへのこだわりは目を見張るものがある。2007年からは基本的に畑に肥料を与えず、耕さず、雑草を生やしたまま栽培する自然栽培を行っている。
「くらむぼん/ソルオリエンス 甲州樽発酵」
くらむぼんのワインを飲んで私が感じたのは「子供の頃に駆け回った懐かしい田舎の庭」だ。生産本数は非常に少ないがぜひくらむぼんの甲州種ワインを読者にも一度飲んでもらいたい。
http://www.kurambon.com/index.html
4. 丸藤葡萄酒工業株式会社(RUBAIYAT WINERY)
「親子4代ワイン造り一筋の極上な日本ワイン」
日本ワイン好きならば誰もが知る山梨ワインの雄が「ルバイヤート(丸藤葡萄酒工業)だ。1882年に自家醸造をはじめてから、親子4代に渡ってワイン造り一筋に歩んできている。
自社のぶどう畑に「旧屋敷」「滝の前」「彩果」などの名前をつけ、ワイナリーツーリストからも人気が高い。
「丸藤葡萄酒/ドメーヌ・ルバイヤート」
現社長の大村春夫氏はまるで陶芸家のような風貌をしている。そんな大村社長が長年に渡り試行錯誤を重ねて生み出したのがプティ・ヴェルドを主要品種でつくる「ドメーヌ・ルバイヤード」である。
ボルドーでは補助品種として主に用いられるプティ・ヴェルドだが、日本の風土や気候で育つとこんなにもエレガントで奥ゆかしいワインになるのかと驚かされる。
http://www.rubaiyat.jp/
5.株式会社ルミエール
日本初のテンプラニーリョ単一品種ワイン
1885年創業のルミエールは皇室御用達を賜る日本でも最古と言われるワイナリーである。1995年に現社長の木田茂樹氏が入社してから、若手の醸造家を中心に様々な新たな取り組みを行ってきた。
「ルミエール/プレステージクラス テンプラニーリョ 2012」
ルミエール流とも言われる自然農法を実践し、世界的にも非常に高い評価を得ている。そんなルミエールが2015年に発表したのがテンプラニーリョ単一品種で作った日本では初となる1本である。
テンプラニーリョといえばスペインのリオハで作られるボディが厚く豊富なタンニンのワインが有名だが、ルミエールのワインは一味違う。全体の印象派チャーミングであり、個人的には「小梅」のようなニュアンスを感じた。ぜひとも読者には一度体験して頂きたい。
http://www.lumiere.jp
最後に、今回ご紹介したワイナリーも参加するフェアが開催されるのでご紹介したい。
12月5日(土)・6日(日)に六本木で開催される東カレも一押しのイベント、「山梨ワイナリーズフェア」は、1日で19ものワイナリー巡りがコンプリートできる、山梨以外では開催されない希少なイベント。
詳しくはこちら:約20社の山梨県のワイナリーが集結&全部飲める奇跡のイベントをヒルズで開催!
https://tokyo-calendar.jp/article/4697
今回ご紹介したワインの一部に加え、出品されていないワインもあるので、この機会に「単純に美味しい」山梨ワインを体験してみてはいかがだろうか。
お申込みページはこちら。
http://www.ywf.jp/
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