本島南部・南城市(なんじょうし)にある世界遺産の斎場御嶽(せーふぁうたき)と神の島といわれる久高島を結ぶ直線上にある通称“うらんばる”。知念岬(ちねんみさき)のすぐ真下の入り江に『やちむんむっしゅ』はあります。
(海のそばで塩害もひどい沖縄式に)“錆び止めブルー”に塗られたの真っ青コンテナの中には、コンパクトながら、インパクト大! のむっしゅワールドがひろがっています。
散切りカットのヘアスタイルをしていたため、東京時代は“かまやつ”と呼ばれ、沖縄に移住してからは“むっしゅ”と呼ばれるようになったそう。外と自由につながれる、開放感たっぷりのこのコンテナ工房は、なんだか彼女の雰囲気そのもの。
昔から、手仕事や民芸品が大好きで、アフリカやエスニックな雑貨を扱う仕事をしていましたが、あたたかな沖縄の土に魅かれ、読谷村(よみたんそん)で5年半の陶芸修行後、独立してこの地にやってきました。
工房兼ギャラリーでもあるコンテナの中には、コレクションしたアフリカの雑貨たちと、やちむんが仲良く同居。ワイルドでどこか土着的、それでいて女性のふくよかなあたたかさのある、むっしゅの焼く器たち。
ごはん茶碗やお味噌汁にスープ、お湯のみ、ビアマグ・・・。意外と和洋問わず、何にでも使えちゃいそうな不思議な存在感です。
まるでアフリカ原始にも通じるような作品たちは、違和感なく異国からの友人たちと融合しています。
決して、派手で華やかではないけれど、不思議な安心感と飽きのこない使い勝手のよさで、その人気はじわじわとひろがり、食にこだわったカフェなどでも使われています。
プリミティブ(原始的)な土器に魅かれ、今でも野焼きで焼く陶器にとても憧れるのだそう。そういったものからのインスピレーションと読谷の工房で学んだ技術とどこか沖縄的な風合い。これがうまくマッチして独特なむっしゅワールドを醸し出しているのかもしれませんね。
自然体で自由な感性がいきいきとした彼女はラッピングも見事に個性的。昭和レトロな包装紙に沖縄の版画家ボクネンさんのカレンダーの切れ端を合わせ、月桃の実を添えて。
9割以上、沖縄の土を使って焼き上げられる作品たち。すべて一人での作業は、クリエイティブでもあり、肉体労働でもあります。試行錯誤を繰り返しながら、今は月いちペースでの窯出しを目指しているそうです。
“私の手と足、男の人みたいに大っきいんですよ”と笑いながら話すむっしゅは、自由で大らかだけれど、とっても繊細でキュートさも秘めているよう。
青いコンテナ工房から1分も歩けば、そこは地元の人たちが散歩しにくるような長閑な浜辺。“ちょっと、ドライブの途中に立ち寄りました” そう言って工房を訪ねれば、むっしゅはとても喜んでくれるはず。
やちむんむっしゅ
- 住所/沖縄県南城市知念久手堅647
- 時間/夏季 15時~19時 冬季 13時~17時
- 定休日/不定休
- 電話/090-4062-5886
- http://むっしゅ.com
沖縄CLIPフォトライター 鶴田尚子
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Information
沖縄県南城市知念久手堅647
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