ひめゆり平和祈念資料館をご存じでしょうか。第二次世界大戦中、米軍の上陸により戦場となった沖縄では、多くの一般市民が亡くなりました。 この施設は、女学生226人が命を落とした『ひめゆり学徒隊』 の悲劇を後世に伝える、糸満市の名所のひとつです。映画やドラマなどで、この物語をご存じの方も多いのではないでしょうか。ご紹介するこの資料館では、原寸大ジオラマの展示を通じて、悲惨な戦争の事実を私たちに訴えています。訪れた後は毎日の普通の暮らしが奇跡に思えるかもしれません。
行ったらここをチェック!
1.ひめゆりの塔
ひめゆり平和祈念館に隣接する慰霊塔。第二次世界大戦の沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」の多くが犠牲となった第三外科壕跡に建てられています。沖縄の悲劇はひめゆりだけでははく、糸満市には数多くの慰霊碑・塔がありますが、その中でも最も早く、終戦の翌年に建てられた塔の一つです。
大きさは数十㎝の慰霊塔ですが、そのもつ意味の重さはメガトン級。ひめゆり平和祈念館とともに、戦争の悲惨さと命の大切さを伝える施設です。平和祈念資料館に行く前に、是非お参りしておきたいもの。
2.第三外科壕のガマ(洞窟)のジオラマ(第四展示室)
ひめゆり平和祈念館に入ると、多くの資料が展示されています。中でも必見!なのがこちら。ひめゆりの塔の場所に穴をあけている井原第三外科壕の跡を、底から見上げる形で再現した原寸大のジオラマです。当時、このガマに米軍によって黄燐弾が投げ込まれ、中にいた人の殆どが死亡しました。
ガマの中の構造を忠実に再現した、圧巻のジオラマ。当時のことを考えると、涙なしには見ることができません。
3.当時の病院壕の様子を再現したジオラマ
第二展示室では、当時、ひめゆり学徒たちが動員された南風原の沖縄陸軍病院がどんな場所で、学徒たちはどんな活動をしていたのかが分かる資料が展示されています。陸軍病院で実際に使用していた医療器具や、病院壕の様子を実際に再現したジオラマで、当時の様子を知ることができます。
「病院壕」すなわち、病院といっても実態は、手掘りの洞窟に粗末な二段ベッドが備え付けられていただけのもの。なんともやりきれない気分にさせられます。
4.第三展示室の証言映像
第三展示室では、ひめゆり学徒の生存者による証言映像と、米軍が記録したフィルムを観ることができます。1945年6月18日の夜に出された「解散命令」により米軍が包囲する戦場に放り出された女生徒たちが、どのように亡くなっていったのかが伝えられています。
ひめゆり学徒たちの運命を大きく変えたのは、戦時下で突然出された「解散命令」。その後の数日間で、100余名のひめゆり学徒が死亡しました。その悲劇を伝える証言は、必見です。
5.遺品、遺影…ひめゆり学徒が生きた証
祈念館に残された、ひめゆり学徒の生きた証も見逃せません。第一展示室には、平穏な学校生活を送っていた頃の女生徒たちの持ち物が、第二展示室には生徒たちが戦場に携えていった品々が、第4展示室には200余名の犠牲者の遺影と生存者の証言本がそれぞれ展示されています。
平穏な学生生活を送っていた少女たちが戦争に巻き込まれ、亡くなっていった…。彼女らの愛らしい持ち物を見ると、一層、このような悲劇を繰り返してはならないという思いが強まります。
ひめゆり平和祈念資料館について
沖縄県糸満市で1989年6月23日に開館した博物館。6つの展示室からなり、第二次大戦中の米軍沖縄上陸戦の折、沖縄陸軍病院に動員され、戦争の犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の記憶を今に伝える施設です。1992年、菊池寛賞を受賞しました。
ひめゆり平和祈念資料館ホームページ
年端もいかない学生たちが、日本軍の戦略によって戦争の犠牲となった事実は知っておかなければならないもの。行くと悲しくなる施設ですが、一度は行くべき場所だと思います。
訪れた人の声
今日行ったまとめです…♪ ひめゆりの塔や、平和記念公園などに行きました… 二度と繰り返してほしくない事実ですね… pic.twitter.com/aPhA1OrS2k
— トラッ加賀@桜指輪 (@sinseikantaico1) 2015, 10月 19
沖縄平和学習ということで壕(がま)に入って話聞いてきた… 教科書には載ってない本当の戦争があまりにも衝撃的過ぎて… ひめゆりの塔とひめゆり資料館にも行ったんだけど生々しい記録が残ってた… 自分達と変わらない女の子があんな悲惨な最後を遂げたと思うと今がどれだけ恵まれてるか…
— ブン太は18日~21日まで沖縄修学旅行 (@bunbun44200521) 2015, 10月 18
休憩スポット
ひめゆり会館 レストラン美(ちゅら)
http://blogs.yahoo.co.jp/hiyona0917/36711941.html
ひめゆりの塔のすぐ隣にある、ひめゆり会館内のレストラン。ソーキそばなど定番の沖縄料理から、地元特産の素材を使ったボリュームたっぷりの定食までメニューは豊富。一押しは絶品「てびち」!ブルーシールアイスも食べられます☆
会館には手作りのサーターアンダギーや紅芋タルト、伝統工芸品の琉球ガラスなど、沖縄のお土産がずらりと勢ぞろい(^^♪ 別館「ひめゆりの駅」にて伝統工芸体験も。
■ 基本情報
- ・名称: ひめゆり会館 レストラン美(ちゅら)
- ・住所: 沖縄県糸満市字伊原734
- ・アクセス: 那覇空港から車で約30分/ 那覇空港自動車道 豊見城I.C.から車で約15分
- ・営業時間: 10:30~16:30(L.O.16:00) ※会館の開館時間は8:30~17:30)
- ・定休日: 年中無休
- ・電話番号: (予約)050-5571-9756 (お問合せ)098-997-3000
- ・料金:ソーキそば760円、 ひめゆり御膳1620円など
- ・公式サイトURL: http://www.himeyuri.co.jp/
合わせて読みたい参考ページ
・ひめゆりの塔・平和祈念資料館の巡り方(たびらい・沖縄)
・海沿いのドライブコース特集・沖縄を深く知る、歴史の旅(マップファンウェブ)
アクセス情報・地図はこちら
■ 基本情報
- ・名称: ひめゆり平和祈念資料館
- ・住所: 沖縄県糸満市字伊原671-1
- ・アクセス:那覇国際空港より車で約30分~40分/ 那覇から糸満市行きのバスで約30分、さらに糸満市から[82][107][108]のバスで約15分、ひめゆりの塔前下車
- ・開館時間: 9:00~17:30(入館は17:00まで)
- ・定休日: 年中無休
- ・電話番号: 098-997-2100
- ・料金: 大人 310円、高校生 210円、小・中学生 110円 ※慰霊の日(6月10日は入館無料)
- ・公式サイトURL: http://www.himeyuri.or.jp/JP/top.html
「ひめゆり平和祈念資料館」が語る、私たちが受け継いでいくべき平和への祈り…。集団的自衛権の行使が限定的とはいえ認められた昨今、戦争を体験したことがない世代こそが、紛争のない世界への努力を真剣に考えなければいけない時期にきているのではないでしょうか。沖縄県は日本で唯一、戦場となったことがある場所。美しい海や、街のにぎわいが、本土決戦で多くの命が失われた犠牲の上に輝いていると思うと、違った風景に見えてくるかもしれません。
素材提供:トリップアドバイザー