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愛染園を、皆さんはご存じですか?全世界にその名をとどろかす、20世紀日本美術の代表者・棟方志功(1903-1975)。ダイナミックなのに温かみが感じられる彼の板画(版画)は、きっと誰でも一度は目にしたことがあるでしょう。彼の偉業を称える施設は日本各地に点在していますが、そのうちの1つが富山県の福光にある、こちらの記念館なのです。今回は、この隠れた名所でどんな体験ができるかを、皆さんにご説明したいと思います!行ったらここをチェック!
1、愛染苑
http://www.city.nanto.toyama.jp/cms-sypher/www/section/detail.jsp?id=219
棟方志功が福光へ疎開していたときの作品をメインに展示する、北陸では唯一の常設展示館です。疎開中の棟方と親交を深めた石崎俊彦氏(1912-2003)が多数の作品と土地を福光町(現・南砺市の一部)へ寄贈し、現在の棟方志功記念館となりました。 けっして大きな記念館ではありませんが、閑静な立地とゆたかな緑・そして生命力あふれる作品のかずかずに囲まれておだやかなひとときを満喫できます。愛染苑を楽しんだ後は、むかいの鯉雨画斎へ行ってみましょう。
2、鯉雨画斎(りうがさい)
http://www.e-marathon.jp/fukumitsu/index.php?menuindex=10
昭和21年からおよそ5年の間、棟方の住居兼アトリエとして利用された建物です。当時は窓から美しい山並みが一望でき、また前庭には魚が泳ぐきよらかな小川が流れていたのだとか。現在でも、往時のおだやかな雰囲気をしのぶことができます。 入居後すぐにトイレの天井と壁に描いたとされる菩薩や天女の絵、押入れに描かれた鯉・鯰の絵は必見!棟方はここに来るまで長らく仮住まいでの暮らしを余儀なくされていたため、自分のすきなようにできる家に住めたのが相当嬉しかったようです。
3、青花堂(しょうげどう)
もともとは石崎氏の住まいであり、現在は棟方が石崎俊彦氏に与えた堂号「青花堂」を冠する民芸館です。石崎氏は棟方だけでなく柳宗悦・河井寛次郎・濱田庄司などかずかずの著名人とも親交があり、彼が独自の目線で蒐集した貴重な民芸品を展示しています。石崎氏は棟方に土地を貸し、板画(自らの版画作品に対する棟方独自の呼び方)の摺りを自ら引き受けるほど棟方に深く信頼されていたそうです。彼の存在なくして「世界のムナカタ」は生まれなかったといっても過言ではないでしょう。
4、棟方志功像(愛染苑庭)
愛染苑の庭に、棟方の親友であった砺波の彫刻家・永原廣(1905-1993)作のちいさな棟方志功像が設置されています。現在庭にあるのはブロンズ像ですが(下に画像があります)、この原型となった石膏像が愛染苑の2階に展示されています。像の周囲には雪椿が植えられており、雪国・富山に春が訪れるとあざやかな花を咲かせます。おだやかに晴れた日には、在りし日の棟方氏がのんびり日向ぼっこしているようにも見えますね。
5、南砺市立福光美術館(本館)
愛染苑・鯉雨画斎・青花堂の3館は、南砺市立福光美術館の分館となっています。本館である福光美術館でも棟方の作品を数多く所蔵・常設展示しているので、ぜひとも足を運んでみましょう。シーズンにより展示内容がかわるので、時間をおいてリピートしてみてもいいですね。愛染苑⇔福光美術館の距離は3kmほど(タクシー・車でおよそ7分、徒歩ならおよそ40分)です。福光駅観光案内所などでレンタサイクルが利用できるので、お天気がいい日ならサイクリングも楽しそうですね。※台数が少なめなので、気になる方はまず問い合わせてみましょう。
「棟方志功記念館 愛染苑、鯉雨画斎、青花堂」について
http://airphoto.hatenablog.com/entry/2014/04/05/193341
棟方がこの地で疎開生活を送っていた6年8ヶ月のあいだに製作した作品を所蔵・展示する記念館です。多数の所蔵品を鑑賞できる「愛染苑」、棟方のアトリエ兼住居「鯉雨画斎」、棟方と親交が深かった石崎俊彦氏所蔵の民芸品を展示する「青花堂」があり、現在は3館とも南砺市立福光美術館の分館となっています。棟方ワールドにどっぷり浸りたいなら、ぜひとも福光美術館本館へも足を運んでみましょう。(戦時中という不自由な時代ではあったものの)福光の豊かな自然と人々のあたたかさに触れながら創作活動に打ち込んだ日々は、その後の彼の芸術家人生においても少なからぬ影響を与えたのです。
訪れた人の声
棟方志功の愛染苑庭。作品にも出てきます。 pic.twitter.com/5SKhLjph
— うどんに反応するBOTペンペン (@kawasaki8kyu) 2012, 3月 26
棟方は愛染苑庭の風景をことのほか愛したと言われており、入場券にも愛染苑前庭の風景が描かれています。外から見た愛染苑は看板がなければわからないほど小さいですが、いざ足を踏み入れると視界いっぱいにひろがる緑が出迎えてくれます。 ともあれ、愛染苑と記念館の職員さんたちには熱く棟方志功について語ってもらい、本当に来て良かった縁を感じた。駅職員が興味がないのでは、この土地の宝は育たない。 pic.twitter.com/wYsB688iLE
— 食い倒れ隊長 (@kuidaoretaicyou) 2015, 2月 18
棟方作品を愛する係員さんたちの「ふか~いお話」もぜひ聞いてみましょう。教科書や本ではなかなかわからない棟方の人となりや暮らしぶりについても、おもしろい発見があること間違いなし!お食事・宿泊に「純日本庭園旅館 松風楼」はいかが?
国の登録有形文化財にも指定された料理旅館です。古きよき建築と日本画に囲まれてゆったり食事を楽しめるいろり処、迫力満点の天井画が楽しめる客室、貸し切りも可能なラジウム人工温泉など、隅々まで風情たっぷりのぜいたくなひとときを満喫できます。車があれば金沢や白川郷・五箇山方面へもアクセスしやすいので、北陸観光の拠点としてもぴったりですね。
■ 基本情報
- ・名称:純日本庭園旅館 松風楼
- ・住所:富山県南砺市福光7471-8
- ・アクセス:JR福光駅より徒歩5分/北陸道小矢部ICより車で10分/東海北陸道福光ICより車で5分
- ・お問い合わせ:0763-52-0051
- ・料金:昼会席料理3300円-、夜会席料理4000円-(要予約)/宿泊8000円-(大人2名)
- ・参考サイトURL:http://www.shofuro.com/
合わせて読みたい参考ページ
お花見めぐり (24) 棟方志功記念館 愛染苑:5963-原風景を往く:JR西日本
アクセス情報・地図はこちら
■ 基本情報
- ・名称:棟方志功記念館 愛染苑
- ・住所:富山県南砺市福光1026−4
- ・アクセス:JR城端線福光駅から徒歩10分(福光公園となり)/北陸道小矢部ICから車で10分/東海北陸道福光ICから車で7分
- ・営業時間:9:00~17:00
- ・定休日:火曜日(祝・祭日開館)・祝祭日の翌平日・年末年始・展示替期間
- ・お問い合わせ:0763-52-5815
- ・料金:一般300円、高大校生200円、小中学生 無料(鯉雨画斎、青花堂入館料も込み)
- ・参考サイトURL:http://nanto-museum.com/aizen-en/
愛染園の魅力、伝わりましたでしょうか?富山の名所の中では少しマイナーかもしれませんが、日本を代表する版画家・棟方志功の足跡を辿れるこの施設は、一見の価値があるでしょう!芸術の秋をココロ静かに、なおかつボリュームたっぷりに満喫したいあなたは、ぜひ足を運んでみてはいかがですか?なお、となりは公園になっています。散策に疲れたときやお子様連れの方は、記念館めぐりの後にそちらでのんびりで過ごすのもイイですよ~。