秋も終盤、まだ日中は過ごしやすいですが、さすがに朝晩はひんやりとしてきましたね。 そんな時は、鍋であたたまりませんか?一人でも食べきれる、簡単手間いらずで、お財布にも優しい小鍋だて。仕事帰りでも無理なく作れる、庶民のレシピを、江戸料理の名店「なべ家」店主の福田浩さんに直撃!
もちろん、材料を多めに用意すれば大人数でも楽しめる。
福田氏によれば、「鍋ものが料理として確立されるのは、江戸時代も末期にさしかかる頃。ここ150年ぐらいのこと」だそうで、当時は、鍋といっても具はせいぜい1~2種類程度。「3つも入れば寄せ鍋だったようですよ。ポピュラーだったのは、湯豆腐や軍鶏鍋、蛤鍋など。江戸の頃は小鍋だてが流行ったんでしょうね」
それが、明治に入って文明開化となり、牛鍋の流行と共に、大勢で一つの鍋を囲むスタイルが普及。鍋ものは次第にスタンダードな食事として定着していったようだ。そしてその普及の背景には、農村などで古くから行われていた囲炉裏を囲んでの食事があげられよう。これが、鍋料理の原点とも言えるかもしれない。
海のミネラルたっぷりのミルキーな旨みを持つカキに、どこかほろ苦さを含んだ特有な香りの春菊がいかにもオツな小鍋。酒肴にも向く1品です。カキから旨みがたっぷり出てくるので、出汁は不用。手軽な点も嬉しい限り。
【材料】 ・カキ…10~12個 ・春菊…1/2束 ・酒/塩…少々 ・ポンズ醤油 ・もみじおろし
【レシピ】 ①湯が温まったら酒と塩少々を入れ、カキを投入 ②カキにある程度火が入ったところで春菊を
春菊は煮すぎぬように要注意です。 カキと時間差で温めた煮えばなを食すのがベスト。ポンズ醤油やもみじおろしでどうぞ。
〝軍鶏鍋〟と言われて思い浮かぶのは、あの「鬼平犯科帳」に登場する本所二ツ目の「五鉄」。長谷川平蔵がこよなく愛した贔屓の軍鶏鍋屋ですかね。割り下で甘辛く仕立てる小鍋はいかにも江戸風。
【材料】 ・軍鶏(鶏肉でも可) ・長ネギ ・醤油/みりん/酒 ・卵
【レシピ】 ①水8に対して酒、みりん、醤油が各1ずつの比率で割り下を ②熱くなったら、まず鶏肉、少し煮えたところで長ネギを投入
鶏肉の脂とネギの甘みが会心の組み合わせでしょう。 そのままでも十分な酒肴となり、溶き卵にくぐらせれば、俄然ご飯が欲しくなる一品です。
冬の霰あられに見立ててこの名がある小柱は、バカガイ(青柳)の貝柱のこと。江戸時代、千葉県の青柳が一大産地だったそうで、船橋や木更津、浦安からも入荷されていたとか。これと春の七草の一つセリを鍋に仕立てた一品は、どこか早春を感じさせる風合いも。
【材料】 ・小柱…80~100g ・セリ…1束 ・かつおだし/醤油/塩…適宜
【レシピ】 ①鰹節でとっただしに塩、醤油で調味 ※吸い物よりやや濃い目が目安 ②柱もセリもざっと鍋の中をくぐらす程度に
香り豊かなセリは根っこが美味。捨ててしまわぬよう気をつけましょう。最後は雑炊でしょう。
かの「豆腐百珍」が刊行されるほど、江戸庶民にとって豆腐はなじみの深い食べ物だったのでしょう。忍藩の下級武士・尾崎隼之助による「石城日記」にも、豆腐料理が毎日のように記載されています。湯豆腐も日々の食卓に上っていたようですね。その尾崎隼之助が食べていたのも、このようなシンプルな1品だったかもしれません。
【材料】 ・豆腐…1丁 ・おろし生姜…1片分 ・刻みネギ/醤油…適宜
【レシピ】 ①湯に塩をひとつまみし、豆腐を投入 ②お好みでおろし生姜や醤油、刻みネギを
出汁はおろか昆布も使わず、具も潔く豆腐のみ。 1丁丸ごとで仕立てることで旨みを逃さず、外は熱々、中はほんのり温かいという絶妙の温度感も楽しめます。 おいしい豆腐を選ぶこと。これが必須条件ですね。
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もちろん、材料を多めに用意すれば大人数でも楽しめる。
そもそも、庶民の鍋文化はいつから普及?
福田氏によれば、「鍋ものが料理として確立されるのは、江戸時代も末期にさしかかる頃。ここ150年ぐらいのこと」だそうで、当時は、鍋といっても具はせいぜい1~2種類程度。「3つも入れば寄せ鍋だったようですよ。ポピュラーだったのは、湯豆腐や軍鶏鍋、蛤鍋など。江戸の頃は小鍋だてが流行ったんでしょうね」
それが、明治に入って文明開化となり、牛鍋の流行と共に、大勢で一つの鍋を囲むスタイルが普及。鍋ものは次第にスタンダードな食事として定着していったようだ。そしてその普及の背景には、農村などで古くから行われていた囲炉裏を囲んでの食事があげられよう。これが、鍋料理の原点とも言えるかもしれない。
簡単小鍋レシピ① 「カキと春菊」
海のミネラルたっぷりのミルキーな旨みを持つカキに、どこかほろ苦さを含んだ特有な香りの春菊がいかにもオツな小鍋。酒肴にも向く1品です。カキから旨みがたっぷり出てくるので、出汁は不用。手軽な点も嬉しい限り。
【材料】 ・カキ…10~12個 ・春菊…1/2束 ・酒/塩…少々 ・ポンズ醤油 ・もみじおろし
【レシピ】 ①湯が温まったら酒と塩少々を入れ、カキを投入 ②カキにある程度火が入ったところで春菊を
春菊は煮すぎぬように要注意です。 カキと時間差で温めた煮えばなを食すのがベスト。ポンズ醤油やもみじおろしでどうぞ。
簡単小鍋レシピ② 「軍鶏鍋」
〝軍鶏鍋〟と言われて思い浮かぶのは、あの「鬼平犯科帳」に登場する本所二ツ目の「五鉄」。長谷川平蔵がこよなく愛した贔屓の軍鶏鍋屋ですかね。割り下で甘辛く仕立てる小鍋はいかにも江戸風。
【材料】 ・軍鶏(鶏肉でも可) ・長ネギ ・醤油/みりん/酒 ・卵
【レシピ】 ①水8に対して酒、みりん、醤油が各1ずつの比率で割り下を ②熱くなったら、まず鶏肉、少し煮えたところで長ネギを投入
鶏肉の脂とネギの甘みが会心の組み合わせでしょう。 そのままでも十分な酒肴となり、溶き卵にくぐらせれば、俄然ご飯が欲しくなる一品です。
簡単小鍋レシピ③ 「霰(小柱)とセリ」
冬の霰あられに見立ててこの名がある小柱は、バカガイ(青柳)の貝柱のこと。江戸時代、千葉県の青柳が一大産地だったそうで、船橋や木更津、浦安からも入荷されていたとか。これと春の七草の一つセリを鍋に仕立てた一品は、どこか早春を感じさせる風合いも。
【材料】 ・小柱…80~100g ・セリ…1束 ・かつおだし/醤油/塩…適宜
【レシピ】 ①鰹節でとっただしに塩、醤油で調味 ※吸い物よりやや濃い目が目安 ②柱もセリもざっと鍋の中をくぐらす程度に
香り豊かなセリは根っこが美味。捨ててしまわぬよう気をつけましょう。最後は雑炊でしょう。
簡単小鍋レシピ④ 「湯豆腐」
かの「豆腐百珍」が刊行されるほど、江戸庶民にとって豆腐はなじみの深い食べ物だったのでしょう。忍藩の下級武士・尾崎隼之助による「石城日記」にも、豆腐料理が毎日のように記載されています。湯豆腐も日々の食卓に上っていたようですね。その尾崎隼之助が食べていたのも、このようなシンプルな1品だったかもしれません。
【材料】 ・豆腐…1丁 ・おろし生姜…1片分 ・刻みネギ/醤油…適宜
【レシピ】 ①湯に塩をひとつまみし、豆腐を投入 ②お好みでおろし生姜や醤油、刻みネギを
出汁はおろか昆布も使わず、具も潔く豆腐のみ。 1丁丸ごとで仕立てることで旨みを逃さず、外は熱々、中はほんのり温かいという絶妙の温度感も楽しめます。 おいしい豆腐を選ぶこと。これが必須条件ですね。
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