アフリカのコンゴ共和国という、ブランド品や流行ファッションには一見程遠い国に、世界一のオシャレ集団がいる…そんな噂を聞きつけ、そのオシャレ集団「サプール」について調べてみました。ファッションにかける情熱とその美意識がステキすぎる「サプール」、ご紹介します。
ファッションに命をかける集団「サプール」
http://www.hipafrica.com/features/les-sapeurs-of-congo/
アフリカ中部に位置するコンゴ共和国。首都ブラザビルの郊外であるバコンゴ地区は、典型的なアフリカの郊外都市ながら、世界のファッションデザイナーから注目を集めています。なぜなら世界一オシャレな男たちの集団「サプール」が出没するから。週末になると、カラフルなハイブランドのスーツに身を包んだ紳士たちが優雅にステップを踏みながら歩いていく…そんなオシャレな紳士たち「サプール」が闊歩する光景を見ることができるんですって。
収入は月3万円なのに世界一オシャレ!
https://storify.com/mguerola/sapeurs-del-congo
コンゴ人の約30%は1日130円以下で生活していると言われ、コンゴは決して豊かとはいえない国です。バコンゴ地区は、コンゴの中でも平凡な町。高級住宅街でもなければ、リッチな町でもありません。サトウキビやパーム油、林業、家畜などの生産がメインで、街の人の平均月給はおよそ300ドルの3万円ほど!紳士たちはブランド物の洋服を、何ヶ月分もの給料を使って命がけでオシャレを楽しんでいるのです。
きっかけはフランス人の着こなしへの憧れ
http://www.lejournalinternational.fr/La-Sape-an-elegance-that-brought-peace-in-t…
フランス語で「お洒落な優雅な紳士協会」という意味の「Société des ambianceurs et des personnes élégantes」の頭文字を取った「SAPE(サップ)」。サップは、コンゴがフランスの植民地時代に、フランス紳士への憧れから流行ったファッションです。そこからサップを楽しむ人を「サプール(Sapeur)」といいます。
オシャレしてただかっこよく歩くだけ!
http://www.hipafrica.com/features/les-sapeurs-of-congo/
サプールはだいたい休日に現れます。そしてサプールたちが行なっているのは、オシャレして街を歩く、ステップを踏む、といったことだけ。時にジャケットの内側のタグを見せながらブランド物を着ている、とアピールをする人もいます。けれども、彼らは街のヒーローです。サプールが現れると人々ははやし立て、それにサプールたちが答えるようにステップを踏むのです。貧困や紛争に苦しんできた人々の心を勇気付ける存在なんですね!
オシャレの中にもこだわりのルールが
http://www.mensquare.com/menly/style/169762-le-bachelor-gentleman-sapeur
驚くべくは、サプールの美意識!サプールになるにはファッションだけでなく、教養や流暢なフランス語といった知的さに加え、人間として倫理観を身につけなければならないのだそうです。お金ではなく精神的な豊かさが何より大切だとのこと。オシャレである前に紳士でなければならないのが彼らのこだわり。コンゴでは内戦が長く続き、紛争がたびたび起こってきました。その度にこの「サップ」は絶えそうになりましたが、その度に「武器を捨て、エレガントな装いをしよう」という、平和への願いがサップの歴史を継続させてきたそうです。
なんとポールスミスも注目するほど!
http://forum.mixedmartialarts.com/thread/2341489/Sapeurs-Congolese-dandies
鮮やかなファッションが特徴のサプールたちですが、あくまでも色は多すぎず、同時に3色以上を使いません。それはエレガントな装いに気を配っているから。この気品の高さと独特な色使いに注目しているのが、あのポール・スミス氏。実際にサプールに触発された作品も発表しています。近年では多くのファッションデザイナーやマスコミがサプールたちを取材するのだとか。今や世界のファッションリーダーなんですね!
その「サプール」が来日!?
http://www.sapchano.com/
2016年3月29日から4月10日までの期間中、東京の西武渋谷店では、特別写真展「THE SAPEUR(ザ・サプール)コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン」が行なわれています。写真家・茶野邦雄さんが現地で50人以上のサプールを撮影したという写真が展示されています。また、被写体としてサプールの1人、セブラン(Daniel Severin MOUYENGO)さんも来日しますよ!場内には、セブランさんが実際に使用しているステッキ、パイプも展示されているほか、サイン会も開催予定。
サプールかっこよすぎだわ…
渋谷西武のサプール写真展、素晴らしかった!色鮮やかな歌舞伎モンの世界が一面に広がっていた。偶然あのセブラン氏ともお会いできて、最高にかっこよく最高に紳士で、とても柔和なお人柄が平和とは何かを物語ってた。#sapeur #サプール pic.twitter.com/CcN3Pr6iNy
— アキオカ (@akiocars) 2016年3月30日
コンゴまで行かなくても、今なら西武渋谷店で開催中の特別写真展「THE SAPEUR(ザ・サプール)コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン」に行けば本物のサプールであるセブランさんにお会いできるかも!渋谷へ急げ!
■ 基本情報
- ・名称: THE SAPEUR コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン
- ・住所: 東京都渋谷区宇田川町21-1 西武渋谷店A館7階特設会場
- ・アクセス: JR・私鉄各線「渋谷」駅より徒歩約3分
- ・期間: 2016年3月29日(火)~4月10日(日)
- ・時間:10:00-21:00※入場は閉場の30分前まで。最終日は17:00まで
- ・電話番号: 03-3462-0111(代表)
- ・料金: 大人 500円、高校生以下無料
- ・公式サイトURL: https://www.sogo-seibu.jp/shibuya/kakutensublist/
いやはや、コンゴにこんなにかっこいい男たちがいるとは!「着飾っていると貧困や紛争などを一時的に忘れることができる」そんなサプールの1人の言葉に、ファッションって平和の上に成り立っているのだなあとしみじみ考えさせられました。ご興味を持った方は、渋谷の写真展にも足を運んでみてくださいね!