中岑 范姜
上野公園と言えば「西郷さん(西郷隆盛)」の銅像が有名ですが、それ以外にも多くの像やモニュメントがあります。その中でも公園の中心地に立ち勇壮な姿を見せているのが、「小松宮彰仁親王像」です。普段は見過ごしてしまいがちな像ですが、その見ごたえある姿をじっくり眺めてみましょう。「小松宮彰仁親王像」とは?
http://blog.goo.ne.jp/zipangu_travel/e/9217df03099cbfb762f623fecbb1cc56
明治45年(1912年)2月に建立、3月18日に除幕された「小松宮彰仁親王」を記念して造られた銅像です。佐野常民氏(博愛社:現日本赤十字社や、龍池会:現日本美術協会の設立者)によって、赤十字社設立25周年記念として提案され、彫刻家(文展審査員)大熊氏廣氏によって製作されました。軍装の騎馬姿をしていて、立派な正帽の前立や装備・馬具の精緻さ、馬の抑えた躍動感、そして馬上の小松宮の威厳あるたたずまいは見ごたえがあります。
「小松宮彰仁親王」とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E5%AE%AE%E5%BD%B0%E4%BB%81%E8%A…
弘化3年(1846年)誕生~明治36年(1903年)薨去。江戸時代末期から明治時代に主に軍人として活躍した皇族の一人です。30世門跡として(純仁法親王)仁和寺に入りましたが、幕末に勅命により還俗し仁和宮(後に東伏見宮)嘉彰と改称しました。直後、征東大将軍として鳥羽・伏見の戦いに、会津征討越後口総督として戊辰戦争に、旅団長として西南戦争に参戦しました。後に小松宮彰仁親王と改称しました。ヨーロッパ諸国にならって、皇族も進んで軍務につくことを奨励し自らも多くの戦場に立ちました。
陸軍大将、近衛師団長、参謀総長を歴任し、日清戦争でも征清大総督として中国にも出征し、その後元帥の称号を賜りました。明治35年(1902年)には明治天皇の名代として、イギリス国王エドワード7世の戴冠式に出席しました。
明治10年に博愛社が創立されると総長に就任、その後日本赤十字社に改名されると総裁となり、赤十字活動の奨励・発展に尽力しました。これ以外にも多くの社会奉仕・事業団体の総裁を務め、現在皇族が行っている社会活動公務の基礎となった一人です。
「小松宮彰仁親王」とゆかりのあるモノたち
小松宮とゆかりのあるモノゴトを紹介します。小松乙女(コマツオトメ)
http://blog.goo.ne.jp/arakawa3po/e/bde7c950963c9a3c7b572e1869b8a8a7
桜の一種「エドヒガン」系の栽培品種です。以前、全国的な「ソメイヨシノ」の親では?とされましたが、新たな研究で異母弟であると考えられています。「小松宮彰仁親王像」の近くで原木(1本だけ)が発見されたことから、「コマツオトメ」の名前が付けられました。ソメイヨシノより少し開花が早く色も少し濃い目です。ここ以外では国立劇場で見ることが出来ます。海軍料亭「小松」
http://blog.goo.ne.jp/nankyoutei/e/47eb925a1a0368864e8ceefd792e8e3a
神奈川県横須賀市にある料亭です。創業者の山本悦が浦賀の旅籠で働いていたときに、小松宮(当時は東伏見宮)を含めた4人の皇族が宿泊し、余興で指相撲をしましたが誰も彼女に歯が立ちませんでした。それに感心した小松宮が、彼女の立派な体にあやかる代わりに名を授けることになり、山本悦は「山本小松(本人の遠慮でコマツに)」と改名することになりました。その後独立して、横須賀に料亭「小松」を開業しました。浦賀で働いていた時の人脈と立地から、主に海軍関係者が利用し、今でも多くの資料が残っています。
余談ですが、繁盛して増築をした際に鳶の親方として活躍したのが、後の逓信大臣小泉又次郎氏、そう元総理大臣小泉純一郎氏のおじいさんです。
■ 基本情報
- ・名称:海軍料亭「小松」
- ・住所:〒238-0011 神奈川県横須賀市米が浜通2-15
- ・アクセス:京急本線横須賀中央駅東口から徒歩約9分/県立大学駅から徒歩約9分
- ・営業時間:完全予約制
- ・定休日:月曜日
- ・電話番号:046-823-1511
- ・料金:お昼 \5,000~(税・サ別)
夜 \8,000~(税・サ別) - 宴会コース \10,000~(税・サ・一部飲み物込み)10名様より
- カード利用不可 別途、席料800円、サービス料(15%)
- ・公式サイトURL:http://www5f.biglobe.ne.jp/~ryoutei-komatsu/
楽寿園
http://shizuoka.mytabi.net/izu/archives/rakujyukan.php
静岡県の三島駅前にある、小松宮の別邸跡に整備された公園です。富士山の雪解け水が湧きだす小浜池を中心に、明治23年(1890年)に池泉回遊式庭園と数寄屋造りの邸宅・楽寿館が造営され今も残っています。楽寿館には、襖・杉板戸・天井などの210面に明治を代表する日本画家たちによる絵が描かれており、静岡県指定の文化財となっています。小浜池とその周囲の庭園は国の天然記念物および名勝に指定されています。小松宮の死後所有者が替わり昭和27年(1952年)三島市が購入し市立公園として開園しました。楽寿館館内は1日6回の見学ツアーで拝見することができます。
園内にはこのほかにも、郷土資料館・のりもの広場・どうぶつ広場などがあり、子供から大人まで楽しめる市民の憩いの場となっています。
■ 基本情報
- ・名称:三島市立公園 楽寿園
- ・住所:〒411-0036 静岡県三島市一番町19-3
- ・アクセス:JR/伊豆箱根鉄道三島駅南口から徒歩3分
- ・営業時間:4月~10月:9時00分~17時00分(最終入園16時30分)
11月~3月:9時00分~16時30分(最終入園16時00分) - ・楽寿館見学ツアー:1日6回(開始時刻)9:30、10:30、11:30、13:30、14:30、15:30
- 時間前までに楽寿館玄関前に集合、所要約30分
- ・定休日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
12月27日~1月2日 - ・電話番号:055-975-2570
- ・料金:【個人】大人(満15歳以上)300円、【団体30名以上】大人270円
- 【年間入園券】1,000円
- 【無料】以下の方
- 15歳以下
- 学生証を提示された学生
- 三島市内在住の70歳以上(市内在住と年齢を証明するものを提示)
- 障がい者手帳・療育手帳をお持ちの方とその付添者1名(窓口にて手帳を提示)
- 事前に減免申請をした特別支援学校、介護福祉施設のグループ入園
- ・公式サイトURL: https://www.city.mishima.shizuoka.jp/rakujyu/index.html
トルコとの友好のきっかけ?
http://www.wakayama-kanko.or.jp/spot/detail.php?id=456
皆さんは「エルトゥールル号遭難事件」を御存知でしょうか?1890年オスマン帝国(現トルコ)の軍艦エルトゥールル号が和歌山県串本町沖で遭難し多くの犠牲者が出ました。その時に串本町の人たちが献身的な救護活動を行い、そのことがきっかけで今でもトルコと日本の篤い友好関係が続いています。実はエルトゥールル号が日本に来た理由というのが、1887年に小松宮がイスタンブールを訪問したことへの返礼のためだったのです。
「小松宮彰仁親王像」周辺の見どころ
上野公園にはこのほかにもいろいろな像やモニュメントがあります。その内のいくつかを見てみましょう。ボードワン博士像
http://www.ueno.or.jp/history/history_02.html
上野公園を語る上でこの人を忘れてはいけません。上野公園の父とも言える人物です。オランダの一等軍医で1862年~1891年まで日本に滞在し、オランダ医学の普及に努めていました。臨時講師となった大学東校(東大医学部の前身)が移転することになり、その候補地の一つに上野の森がありました。しかし工事によってその自然が失われることを危惧して政府に保存を提言し、その結果、日本初の近代的な公園として整備されることになりました。
1973年上野公園100年記念として建てられましたが、手違いで駐日オランダ領事(在神戸)を務めていた弟の顔で作られてしまいました。その後、間違いに気付き2006年にやっと本人の顔で再建されました。上の画像で像が二つあるのはそのためです。
ちなみに間違われた弟の像は、しばらく保管されたままになっていましたが、2010年神戸ポートアイランド北公園に移設されました。
野口英世像
http://matuhuji.exblog.jp/13109107/
黄熱病などの研究で世界的に有名な、日本が誇る細菌学者である野口英世の像です。今では1000円札の肖像画のイメージが強いでしょうか。像は試験管を持った研究中の姿を表していて、野口英世としてはめずらしい全身像です。同郷の玉応不三雄により建立が計画されますが、資金難により頓挫してしまいます。その後医学界により遺志が継がれ、1951年に建立されました。台座にはラテン語で「人類の幸福のために」と刻まれています。
安井誠一郎先生像
http://op125d.blogspot.jp/2014/04/blog-post_856.html
あまり聞きなれない名前ではないでしょうか。官僚から政治家になり、初代東京都知事(3期連続)になった人物です。戦後の食糧難や復興への対策、オリンピック招致などに尽力しました。墓所がある多磨霊園には全身像が建てられています。時忘れじの塔
http://52176984.at.webry.info/201101/article_1.html
落語家故林家三平師匠の夫人海老名香葉子さんが中心となり、関東大震災と東京大空襲の惨状を忘れないように、そして平和な時代へと時をつなげる目印として平成16年に建立されました。平和の母子像と時計塔からなり、時計は太陽電池で動いています。http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/toubuk/ueno/kouenannai.html
訪問者の声
凛々しい陸軍大将の小松宮と今まさに駆けださんとする馬の姿。 氏広の力量がしのばれる作品です。
http://www.hatomame.net/backno/tokusyu/0510/geijutu.htm
小松宮彰仁親王像前の木が原木で、公園内には同種類の木が4本あるそうです。 今年は例年より早くソメイヨシノが咲き始めているため、場所によっては早春に咲く小松乙女(コマツオトメ)との競演が楽しめます。
http://folklore.at.webry.info/201303/article_50.html
■ 基本情報
- ・名称:小松宮彰仁親王像(上野恩賜公園内)
- ・住所:東京都台東区上野公園8
- ・アクセス:JR「上野」駅 公園口から徒歩5分、広小路口から徒歩9分
- 地下鉄銀座線・日比谷線「上野」駅から徒歩9分
大江戸線「上野御徒町」駅から徒歩12分 - 京成線「京成上野」駅から徒歩8分 駐車場(有料)
- ・開園時間:午前5時~午後11時(時間外は立ち入り禁止)
- ・定休日:12月29日~1月3日(事務所業務は休止します。)
- ・電話番号:03-3828-5644
- ・オススメの時期:3~4月の桜の時期、「コマツオトメ」と一緒に!
- ・公式サイトURL:http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/toubuk/ueno/index_top.html